
アーム代表の伊藤です。
月額3万円の5年契約は、総額180万円です。高いかどうかを決める前に、毎月何が含まれ、どこから追加料金になるかを確かめます。時間換算は、契約の中身を比べるための一つの目安です。
こんな方におすすめのコラムです
- 初期費用0円と言われたが、得なのか分からない
- 毎月払っているのに、何をしてもらっているか説明できない
- 更新を頼むたびに、別で請求が来る
- 解約したらサイトがどうなるか、聞けていない
同じ月額3万円でも、契約の中身は違います
月額と買い切りのどちらが得か。この比べ方では答えが出ません。金額が同じでも、含まれている仕事が違うからです。
比べるのは支払いの型ではなく、その3万円に何が入っているかです。
分かれ目は、貴社がこの1年でサイトに何回手を入れるつもりかにあります。
年に1〜2回で足りるなら、含まれる時間が少なくても困らないかもしれません。月に1回以上なら、足りているかを先に確かめてください。
契約書で先に見る7項目
仕事を受ける側の発注書には、月額のほかに、基準になる時間、その上下の精算幅、超えたときの単価、何分刻みで数えるかまで書いてあることがあります。
ホームページの月額契約も同じです。何をどこまで頼めるかが決まっていなければ、割る数字そのものがありません。
電卓を出す前に、契約書のどこに何が書いてあるかを見てください。
確認する項目 | 契約書で探す内容 | 分かること |
|---|---|---|
契約形態 | 請負、準委任、保守契約 | 成果物への支払いか、作業への支払いか |
業務範囲 | 更新、監視、障害対応、相談 | 3万円に含まれる仕事 |
基準時間 | 月何時間、何件、何ページ | 月額を割るための数字 |
追加料金 | 超過単価、追加作業費 | 範囲を超えた場合の金額 |
精算単位 | 15分、30分、1時間 | 小さな修正がどう数えられるか |
含まれる経費 | サーバー、ドメイン、ツール | 人の作業代以外の実費 |
更新・解約 | 自動更新、通知期限 | いつまで支払いが続くか |
同じ用語が見つからないこともあります。その場合は、同じ意味の条件がどこに書かれているかを確かめてください。
契約書に時間が書いていない。何を聞けばよいですか
「月にどれくらいの作業を見込んでいますか」と聞くのが角が立ちません。時間で答えが返らなければ、件数でもページ数でも構いません。
数えられる単位が1つ決まれば、そこから割れます。返事が「都度対応です」だけなら、月額に含まれる作業量は決まっていないことになります。
保守、運用、更新は何が違いますか
会社によって指す範囲が違います。業界共通の定義はありません。
言葉ではなく、作業を1つ挙げて聞いてください。「トップの写真を差し替えるのは、どれに入りますか」と聞けば、その会社の区分が返ってきます。
概算の出し方と、計算してみた例
先に断っておきます。月額から制作費と実費を引いても、残りがそのまま作業者の人件費になるわけではありません。
窓口、待機、管理、責任、会社の利益も、そこに含まれます。ここで出すのは厳密な原価ではなく、作業量を考えるための概算です。
まず、月額から2つを引きます。人の手が動く費用ではないので、時間には換算できません。
引くもの | どこで分かるか | 出し方 |
|---|---|---|
制作費の分割 | 契約書の初期費用と契約期間 | 制作費の総額 ÷ 契約月数 |
サーバー・ドメインの実費 | 見積書の内訳。書かれていなければ質問する | 自社で同じものを借りたときの金額 |
初期費用0円は、費用が消えたとは限りません。月額に混ぜて後払いにしている場合があります。0円になったのは初期費用であって、制作費ではありません。
残りを時間単価で割ります。単価はアームの料金ガイドの目安から引きました。フリーランスで1時間3,000〜10,000円、法人の制作会社で人月80〜200万円です。
人月を160時間で割ると1時間5,000〜12,500円。間を取って5,000円と10,000円の2本にしました。実際の単価は、担当する人の役割と契約範囲で変わります。
ここからは、実在の契約とは関係のない説明用のモデルです。制作費60万円を5年で分割している場合を想定します。
見積書の項目 | 月あたりの金額 |
|---|---|
月額 | 30,000円 |
うち制作費の分割(60万円 ÷ 60か月) | -10,000円 |
うちサーバー・ドメインの実費 | -3,000円 |
人が動く費用 | 17,000円 |
17,000円を割ると、時給5,000円なら月3.4時間、10,000円なら月1.7時間です。
契約書に「月◯時間」と書いてある場合は、割るだけで済みます。次も説明用のモデルで、分かりやすさのため3万円をそのまま割っています。
月に含まれる作業時間 | 1時間あたりの金額 |
|---|---|
2時間 | 15,000円 |
5時間 | 6,000円 |
10時間 | 3,000円 |
単価が高いだけで割高とは限りません。判断や急ぎの対応、責任の範囲も料金に入ります。時間換算は価値を決めるものではなく、契約の中身を確かめる入口です。
数字が書いてあることと、数字同士が合っていることも別です。
月額を基準時間で割った額と追加単価が揃っているか。追加料金が何時間目から始まるか。月額と追加単価で税の表記が違っていないか。この3つはその場で確かめられます。
計算が合わない。確認して失礼ではないですか
失礼になりません。書き間違いや、途中で条件が変わったまま更新されていないこともあります。
責める形にせず、「この数字はどこから出ていますか」と聞けば済みます。それで気を悪くする相手なら、長く付き合う相手ではありません。
月2時間を分けてみると、追加作業まで残らないことがあります
出た時間を作業に当ててみます。以下は制作費の分割を含む月額保守を想定した目安で、契約によって変わります。
文章の差し替えは10分ほど、写真の差し替えは30分ほど。ページを1枚増やすとなると、数時間かかることがあります。
月2時間だと、差し替えは入っても、ページの追加までは残らないことがあります。
「更新は無料です」と言われたときに確かめるのは、無料かどうかではなく、無料の範囲がどこで切れるかです。
月額の内訳をもう一段細かく見るならホームページの保守費用に、頼む相手をどう分けるかは作ったあと誰と回すのかにまとめています。
月に一度も頼まなかった。3万円は無駄ですか
無駄とは限りません。頼まなかった月にも契約は生きています。買っているのは作業ではなく、待機です。
1年ぶん見て一度も使っていないなら、その待機に年36万円まで出すかどうかを決めてください。
この記事の数字の扱いと出どころ
金額はすべて税別です。相場は出していません。月額制は中身の幅が大きく、平均値が貴社の見積書に当たらないからです。
時間単価はアームが公開している料金ガイドの目安、作業時間の目安は2024年6月の独立以降に受けた更新依頼の実績です。
計算例とモデルの数字は、実在の契約とは関係のない説明用のものです。
相手が答えに詰まる4つの質問
どれも1分で聞けます。答えの中身よりも、答え方に迷いがあるかどうかを見てください。その一瞬の間が、あとで請求書になって戻ってきます。
解約したら、このサイトは残りますか
「解約後、今のサイトのデータを受け取って別の会社で公開できますか」と聞きます。
できると言われたら、何を渡してもらえるかまで確かめてください。画像とテキストだけか、構造ごと渡るかで、次の金額が変わります。
答えが曖昧なら、契約書の解約条項をその場で見せてもらってください。
データ・ドメイン・アカウントの名義は誰ですか
ドメインの名義が自社でないなら、引っ越しは相手の許可制です。協力が得られないと、住所を変えて出直すことになります。検索からの流入も、刷った名刺の文字列も、そこで一度切れます。
名義が相手のままなら、自社に変えられるかを確かめてください。
ドメインの名義は、契約の中でいちばん静かに効いてくる項目です。
「更新は無料」は、どこまで入っていますか
確かめるのは無料かどうかではなく、無料の範囲がどこで切れるかです。文章の差し替えは入っても、ページを1枚増やすところからは別料金、という線引きはよくあります。
聞き方は具体的にしてください。「トップの文言を3か所直したい」「実績を1ページ足したい」と作業を1つ挙げて、それが無料に入るかを確かめます。
最低契約期間と、途中でやめたときの精算は
制作費を分割している契約なら、期間があること自体は不自然ではありません。回収の途中で抜けられると、制作会社側が原価を割るからです。
確かめるのは期間の有無ではなく、期間内に解約したときにいくら支払うのかです。残額の一括請求か、日割りか。書かれていなければ、書き足してもらってください。
1つでも答えが濁ったら、その日は判を押さないでください。
月額が向いている会社と、向いていない会社
月額という仕組みそのものに問題はありません。合う会社と合わない会社があるだけです。
貴社の状況 | 向いているほう | 理由 |
|---|---|---|
初期にまとまった資金を出せない | 月額 | 公開を待たずに始められる |
更新は年に1〜2回で足りる | 買い切り | 使わない時間に払い続けることになる |
社内に触れる人がいない | 月額 | 止まったときの窓口が要る |
月に1回以上、内容を変えたい | 月額 | ただし時間が足りているかを確かめる |
数年内に作り直す予定がある | 買い切り | 契約期間が作り直しの足かせになる |
この表で行が決まらないときは、コストセンターか、売上装置かに5つの質問で判定する方法を置いています。
うちの月額も、同じ計算にかけておきます
人の契約を検算させておいて自分は出さない、というわけにいきません。アームの月額伴走は料金ガイドのとおり、週1日で月12万円から、週2〜3日で月30万円からです。
この金額に制作費の分割もサーバー代も入っていません。週1日なら月およそ32時間で、1時間あたり3,750円です。
安く見えるかもしれませんが、そのぶん範囲を絞っています。止まったときの当番は引き受けず、良くする側だけを担当する契約です。
よくある質問
ホームページの月額料金の相場はいくらですか?
相場という形では出していません。月額制は、制作費の分割だけの契約から毎月人が動く契約まで中身の幅が大きく、平均値では貴社の見積書の妥当性を判断できないためです。
代わりに、契約書で何が含まれるかを確かめたうえで、残りを時間に直してみてください。
初期費用0円は損ですか?
損とは限りません。判断は、契約期間の総額と、途中で解約したときに何が残るかで行ってください。
総額が買い切りと大きく変わらず、解約後もサイトが手元に残るなら、資金の出方が違うだけです。
最低契約期間があると言われました。応じるべきですか?
制作費を分割している契約では、期間の設定自体は不自然ではありません。回収の途中で抜けられると、制作会社側が原価を割るためです。
確かめるのは期間の有無ではなく、期間内に解約したときの精算方法です。残額の一括請求か、日割りか。書かれていない契約書は、書き足してもらってください。
まとめ
月額は、支払いの型では判断できません。契約書で何が含まれるかを確かめ、残りを時間に直す。ここまでで、その契約でどれくらいの作業量を買っているかの見当がつきます。
手順 | やること |
|---|---|
1 | 月額 × 契約月数 で総額を出す |
2 | 契約書で、含まれる仕事と基準時間を確かめる |
3 | 制作費の分割と実費を引き、残りを時間単価で割る |
4 | その時間で、必要な更新が足りるか見る |
5 | 解約後にサイト・ドメイン・データが残るか確かめる |
1から3までは、この記事だけでできます。止まるとしたら4と5です。
出た時間が自社に足りているか、契約書の条項が危ないか。ここは比べる相手を知らないと決められません。
見積書か契約書が1枚あれば、アームでも一緒に見ます。替える前提では聞きません。妥当ならそう言います。




