
アーム代表の伊藤です。FramerもStudioも、サイトを止めずに別の相手へ引き継げます。手間と費用を分けるのは、プロジェクトの所有権・プランの契約者・ドメインの3つが、いま誰の名義かだけです。
相談に来る方の多くは「替えたい。でもアカウントもドメインも誰の名義か分からない。聞けば角が立つ気がする」で止まっています。この記事は、その3つを自分で確かめ、次の相手を「作れるか」ではなく「一緒に判断できるか」で選ぶための手順です。
こんな方におすすめのコラムです
- アカウントもドメインも制作会社の名義のまま。聞き出せずにいる
- 引き継いだらプランやドメインがどうなるのか、公式を読んでも分からない
- 直す箇所は言えるが、それで合っているか相談できる相手がいない
- 次の相手に同じ不満を持ちたくない。頼む前に確かめることを知りたい
先に結論。確認するのは3つだけです
引き継ぎの相談を受けたとき、最初に開くのは管理画面の1枚だけです。メンバー一覧で、誰がOwnerになっているか。そこに自社の名前がなければ、引き継ぎは「お願い」から始まり、あれば「通知」で済みます。この差が、手間と費用のほぼ全部です。
詰まる場所は3つに決まっています。プロジェクトの所有権、プランの契約者、ドメインの名義。この3つが自社名義なら、相手を招待して権限を渡すだけで終わります。制作会社の名義なら、それぞれを移す手続きが要ります。
確認すること | Framer | Studio |
|---|---|---|
プロジェクトの所有権 | 所有者かワークスペース管理者が「Transfer Project」で相手のメールアドレスへ譲渡。相手が承諾すると移る。譲渡中もサイトは公開されたまま | 相手のアカウントをプロジェクトへオーナー権限で招待し、元の担当者が退出する。退出せずメンバーとして残ることもできる |
プラン(有料契約) | 譲渡を受け入れた時点で既存プランは自動で解約され、未使用分は元の所有者のクレジットになる。新しい所有者が契約し直す | プランはプロジェクト単位。プロジェクトごと引き継ぐなら契約はそのまま残り、支払いオーナーを相手に変える。別プロジェクトへプランだけ移すことはできない |
ドメイン | 譲渡中も独自ドメインは機能し続ける。ただしプランを同一ワークスペース内の別プロジェクトへ移す場合は、元のプロジェクトのカスタムドメインが外れる | 独自ドメインは有料プランのプロジェクトでのみ公開できる。プロジェクトごと引き継げばドメイン設定も残る |
編集する人の費用 | 編集権限のある席は有料。エディター1名$20、CMSと文言だけ触るコンテンツエディター1名$10(月額・2026年8月時点の公式表記。プラン本体が円表示でもここはドル表記) | ワークスペースFreeはメンバー数無制限。制限は人数ではなくプロジェクト数(3件まで)。ゲスト招待と細かな権限分けはTeamプラン(1名月1,450円・最低3名) |
この表の出典と時点
Framer公式ヘルプ「Transfer a project to another user」「Move a project to another workspace」「Move a subscription between projects」「Members, roles, and permissions」、Studio公式ヘルプ「作成したプロジェクトをクライアントへ引き渡したい」「プロジェクト間でプランの引継ぎをしたい」(いずれも2026年8月21日確認)
ここで押さえてほしいのは、両ツールとも「引き継げない」仕様にはなっていないという点です。引き継げないと言われたとしたら、ツールの制約ではなく、名義か契約か、人の都合です。では、実際に引き継ぐと何が起きるのか。プランが一度切れるFramerから見ていきます。
自社のサイトがいまどの欄に当てはまるか分からない場合は、名義の確認からで構いませんので、Studio・Framerサイト制作のページからご相談ください。管理画面を一緒に開いて、3つの名義を確かめるところからお手伝いします。
Framerで作ったサイトを引き継ぐと、何が起きるのか
Framerの引き継ぎは「プロジェクトの譲渡」と「ワークスペース間の移動」の2通りがあり、発注者にとっての意味が違います。
1. Transfer Project。サイトは止まらないが、プランは一度切れます
譲渡できるのはプロジェクトの所有者かワークスペースの管理者だけです。相手のメールアドレスを入れて招待し、相手が「Confirm Transfer」を押すと所有権が移ります。公式ヘルプは、この間サイトはオンラインのままで、カスタムドメインも機能し続けると明記しています。
注意点は料金です。相手が譲渡を受け入れた時点で、既存の有料プランは自動で解約されます。未使用分は元の所有者のアカウントクレジットに変わり、新しい所有者が改めてプランを選んで支払う形になります。
つまり譲渡の瞬間に「誰が払うか」が切り替わるので、月の途中で譲渡すると、元の担当者にクレジットが残り、自社は新規契約の初月を払うことになります。事前に締め日を合わせておくと無駄がありません。
2. ワークスペース移動。プランは解約され、クレジットは元の場所に残ります
制作会社のワークスペースで作られたプロジェクトを、自社のワークスペースへ移す方法です。移動自体はダッシュボードの三点メニューから数手順で済みます。
ただし公式ヘルプのとおり、アクティブなプランは移動時に解約され、未使用分のクレジットは元のワークスペースに残ります。自社側には移りません。
料金の話でもう1つ。プランを別のプロジェクトへ付け替える「Move Plan」は、同一ワークスペース内でしか使えません。しかも移すと、元のプロジェクトに接続していたカスタムドメインが外れます。
制作会社が「プランだけ移してあげます」と言った場合、それは自社のワークスペースへは移せない、ということです。
3. 編集する人の席は、引き継いだあとに増えやすい費用です
Framerは閲覧だけなら無料ですが、編集できる席は1人ずつ課金されます。公式の料金ページでは、エディターが1名あたり$20、CMSの更新や文言の修正だけを行うコンテンツエディターが1名あたり$10(いずれも月額)です。
プラン本体は日本から見ると円で表示されますが、この席の料金はドル表記のままなので、総額を出すときは通貨を揃えて足してください。詳しくはFramerの料金プラン|無料と有料の違いと月額の外側の費用で整理しています。
引き継ぎの場面で起きやすいのは、制作会社のエディター席がそのまま残っていて、自社が払い続けているケースです。権限の一覧で、誰がEditorで誰がViewerかを一度棚卸ししてください。
Studioで作ったサイトを引き継ぐと、何が起きるのか
Studioは考え方がFramerと逆で、プロジェクトが主、アカウントが従です。プランも支払いもプロジェクトに付いています。
1. オーナー権限で招待し、支払いオーナーを変えるだけです
公式ヘルプの手順は4つです。自社のアカウントを作る、制作会社が自社のアカウントをプロジェクトへ招待する、権限をオーナー(有料プランなら支払いオーナー)に変える、制作会社が退出する。
プロジェクトを丸ごと引き継ぐので、プランも独自ドメインもそのまま残ります。Framerのようにプランが切れることはありません。
引き続き運用に関わってもらうなら、制作会社はメンバーとして残れます。退出するか残るかは、契約の話であってツールの制約ではありません。
2. 「別のプロジェクトに移す」はできません。デザインのコピーになります
プランはプロジェクト単位なので、別のプロジェクトへプランだけ引き継ぐことはできません。
公式ヘルプが示す代替は、プロジェクトAのプランをダウングレードしてプロジェクトBを新規契約する、デザインをコピー&ペーストで移す、という方法で、支払い済みの料金は返金されず、CMSの記事やタグは引き継がれません。
ここが引き継ぎで最も見落とされる点です。制作会社が「新しいプロジェクトで作り直しますね」と言ったとき、それは元のCMSデータが移らないという意味です。お知らせや実績を何十件も入れているなら、移すのではなく、同じプロジェクトの中で権限を渡す手順を選んでください。
3. ワークスペースの費用は、人数ではなくプロジェクト数で決まります
StudioのワークスペースはFreeでもメンバー数が無制限で、制限はプロジェクト数(3件まで)にかかります。
社外のパートナーをゲストとして招待したり、メンバーごとに権限を分けたりするならTeamプラン(1名月1,450円・最低3名)が要ります。自社で1サイトだけ持つなら、引き継いでもワークスペース側の費用はかかりません。
詳しくはStudioの料金プラン|6プランの違いとワークスペース費用に書いています。
制作会社の名義のままになっていたら、どうするか
ここまでは「自社の名義にできる」前提の話でした。実際には、アカウントもドメインも制作会社の名義のまま、というサイトが少なくありません。
相談サイトには、2013年から2026年まで途切れずに同じ相談が投稿されています。
「ドメイン移管は無理と言われた」「著作権違反で多額の請求をすると言われた」「管理してくれている会社がどこなのか分からない」「全面リニューアルを頼んだら契約当初の倍以上と言われた」。どれも、名義が自社にないまま運用を続けた結果です。
やることは3つです。
- 名義を書き出す。 ドメインの登録者、FramerまたはStudioのアカウントの所有者、サーバーや外部サービス(フォーム・計測)の契約者。分からなければ、ドメインはWhois検索で登録事業者が確認できます(登録者名は代理公開で伏せられていることがありますが、どの事業者で取ったかは分かります)
- 契約書を読む。 所有権・著作権・解約予告期間・違約金の条項。書いていないなら、それは「決まっていない」という意味で、相手が一方的に決められるものでもありません
- 次の相手を決めてから、いまの相手に伝える。 順番を逆にすると、サイトが止まる期間が生まれます
解約できるか、費用を払う義務があるかは契約次第で、この記事では断定しません。トラブルになっている場合は、消費生活センターや弁護士の領域です。
ここで言えるのは、ツール側の名義を戻す作業は、FramerもStudioも相手が承諾すればその日のうちに終わるということです。時間がかかるのはドメインの移管で、事業者によって数日から1週間ほど見ておいてください。
名義がなく、いまの相手と連絡も取りづらい状態なら、ホームページを自社で更新できる体制にしたいのページで、所有権を取り戻す順番を整理しています。
引き継いだあと、誰と運用するかを先に決めてください
引き継ぎは手続きです。本当に決めるべきなのは、そのあと誰とどう回すかです。
2026年8月に、Framerで作られたサービスサイトの運用体制について相談を受けました。相談者がいまの担当者に感じていた不満は3つで、どれも技術の話ではありませんでした。
- 扱っているサービスそのものに興味が薄い
- 言われた修正はやるが、その先を提案しない
- やり取りの中で出てきた違和感を、改善の機会に変えてくれない
この3つは、制作会社を替える理由として最も多いものだと思います。そして、次の相手にも同じことが起きます。「作れるか」で選ぶと、作れる人が来る。「一緒に判断できるか」で選ばないと、判断する人は来ません。
体制は、作業ではなく判断の置き場所で決めます。
体制 | 向いている状況 | 月の費用感 |
|---|---|---|
自社で回す | 更新が文言と画像の差し替えで済む。判断できる人が社内にいる | ツール代のみ(Studio 3,980円〜・Framer Pro 3,081円〜。年払い月額換算) |
スポットで頼む | 年に数回、構成やページの追加がある | 1回数万円〜数十万円 |
伴走してもらう | 問い合わせや採用など、数字で追う目的がある | アームの場合は月12万円〜(計測と改善提案)、月30万円〜(実行込み) |
体制ごとに、起きやすい失敗
- 自社で回す:次の一手が出ず、更新だけ続いて成果が止まる
- スポットで頼む:毎回の依頼が面倒になり、小さな改善が後回しになる
- 伴走してもらう:「何をしてくれるのか」を決めずに始めて、作業代行に戻る
表の金額は、ツールは各公式料金ページ、伴走はアームの費用と相場の考え方によります(2026年8月時点)。
判断の置き場所を決める質問は1つです。「今月、このサイトで何を試したかを、誰が言えるか」。自社の誰かが言えるなら自社で回せます。言える人がいないなら、作業を頼む前に、判断を一緒にする相手を探したほうが、同じお金で得られるものが変わります。
引き継ぎの前に、いまの相手へ送る確認リスト
そのまま送れる形にしました。角を立てたくない場合は、「社内で管理台帳を作ることになった」と添えるだけで十分です。
- プロジェクトの所有者(Owner)は誰のアカウントか。自社のアカウントをOwner(Studioは支払いオーナー)にできるか
- 有料プランの契約者と支払い方法は誰のものか。次回の請求日はいつか
- 独自ドメインの登録事業者と登録者名。DNSを管理しているのはどこか
- 編集権限を持っているアカウントの一覧。退出してもらうアカウントはどれか
- CMSに入っているデータ(お知らせ・実績・ブログ)の件数と、書き出しの可否
- フォーム・計測(GA4・Search Console)・外部連携の契約者と管理者
- 契約書の所有権・著作権・解約予告・違約金の条項。書面がない場合はその旨
- 引き継ぎ完了後も、相談できる窓口を残すかどうか
相手がこのリストに淡々と答えてくれるなら、その相手は信頼できます。答えを渋る項目があれば、そこが自社の弱点です。
アームの、引き継ぎと運用体制の考え方
引き継がれても困らない作り方をしているので、この記事が書けます。
名義は最初からお客様に置きます
アームで作るサイトは、ドメインもアカウントもデータもお客様の名義です。保守契約は任意で、解約は1ヶ月前の通告のみ、違約金はありません。引き継ぎの記事を書いているのは、引き継がれても困らない作り方をしているからです。
ツールを固定しません
StudioもFramerも、microCMSのようなヘッドレスCMSも、自社サイトを含めて運用しています。
引き継ぎの相談で「このツールのまま続けるべきか」と聞かれたら、ツールの都合ではなく、更新する人数と判断の置き場所で答えます。乗り換えを勧めることも、勧めないこともあります。
判断を一緒にすることを、商品にしています
修正の作業は、AIとノーコードで年々安く速くなっています。残るのは「何を直すべきか」を決める仕事です。アームのグロース伴走は、月次の計測と改善提案、優先順位づけを代表が直接行います。作業の外注先ではなく、判断の相手として使っていただくための形です。
名義の確認から、引き継ぎの段取り、その後の体制づくりまで、一人で一気通貫に担当します。いまの相手との関係を壊さずに移る順番も、一緒に考えます。まずはStudio・Framerサイト制作か、お問い合わせからお声がけください。ヒアリングは無料で、頼まない判断をしていただいても追客はしません。
よくある質問
Framerのプロジェクトを別の会社に譲渡すると、サイトは止まりますか?
止まりません。公式ヘルプは、譲渡の間もサイトはオンラインのままで、カスタムドメインも機能し続けると明記しています。止まるのはプランの契約で、譲渡を受け入れた時点で既存プランは解約され、新しい所有者が契約し直します。
Framerの有料プランごと、自社のワークスペースに移せますか?
移せません。プロジェクトは移せますが、プランは移動時に解約され、未使用分のクレジットは元のワークスペースに残ります。プランの付け替え(Move Plan)は同一ワークスペース内でしか使えません。
Studioで作ったサイトの所有者を変えるには、どうすればいいですか?
自社のアカウントをプロジェクトにオーナー権限で招待し、有料プランならあわせて支払いオーナーに変更します。そのあと、元の担当者がプロジェクトから退出します。プロジェクトごと引き継ぐので、プランも独自ドメインも残ります。
Studioのプランを、新しいプロジェクトに引き継げますか?
引き継げません。プランはプロジェクト単位で、公式ヘルプの代替手段はデザインのコピー&ペーストです。支払い済みの料金は返金されず、CMSの記事やタグも移りません。元のプロジェクトの中で権限を渡す方法を選んでください。
ドメインが制作会社の名義でした。取り戻せますか?
契約と相手次第なので、この記事では断定できません。まず登録事業者と登録者名を確認し、契約書の所有権・解約の条項を読んでください。話がこじれている場合は、消費生活センターや弁護士の領域です。
引き継いだあと、運用は自社だけでできますか?
更新が文言と画像の差し替えで済み、「今月このサイトで何を試したか」を言える人が社内にいるなら、自社で回せます。いないなら、作業の外注先ではなく、判断を一緒にする相手を先に決めたほうが、同じ費用で得られるものが変わります。
まとめ
確認するのはプロジェクトの所有権・プランの契約者・ドメインの名義の3つ。両ツールとも公式に譲渡の手順があり、サイトを止めずに移せます。Framerは譲渡でプランが一度切れ、Studioはプロジェクトごと引き継げばプランもドメインも残ります。
名義が制作会社にあるなら、まず名義を書き出し、契約書を読み、次の相手を決めてから伝える。そのあと誰と判断するかを決めないと、次の相手にも同じ不満を持つことになります。確認リストをそのまま送るところから始めてみてください。
引き継ぎと運用体制の相談は、お問い合わせからいつでも受け付けています。
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