
アーム代表の伊藤です。
訪問看護や通所介護でWebから相談が増えない原因は、サイト制作自体が目的になり、利用者・ご家族・ケアマネジャーの不安にどの順で答えるかが設計されていないことにあります。介護職員の必要数は2040年度に約272万人と推計され(厚生労働省・2024年7月公表)、選ばれる事業所づくりの重みは増します。この記事では、紹介依存から一歩広げる信頼の見せ方と相談導線の判断軸を整理します。
こんな方におすすめのコラムです
- 「病院やケアマネジャーからの紹介は来るのに、ホームページからの相談がほとんどない」という方
- 「紹介に依存したままの集客に、入口を一つ増やしたい」という方
- 「事業所サイトはあるが、利用者やご家族に何を伝えればいいか分からない」という方
- 「訪問看護やデイサービスの集客と採用、両方に同時に困っている」という方
- 「広告費をかける前に、自事業所の信頼の見せ方を整理したい」という方
訪問看護・通所介護の集客とは、選ばれる理由を伝える設計のこと
訪問看護や通所介護の集客とは、事業所の名前を広く知ってもらうことではなく、利用者やご家族、そして紹介元であるケアマネジャーに「ここなら任せられる」と感じてもらい、相談という行動まで運ぶための選ばれる理由を伝える設計です。
なぜ今この設計が必要なのか。背景には、介護を取り巻く需要と担い手の両方の変化があります。高齢化で介護のニーズは拡大が続き、必要とされる担い手の数も増えていく見通しです。厚生労働省が公表した集計では、第9期介護保険事業計画にもとづき都道府県が推計した介護職員の必要数は、2026年度に約240万人、2040年度に約272万人とされています。2022年度の215万人と比べると、2040年度で約57万人の増加にあたります(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」、2024年7月公表)。
ニーズは増えても、1つの事業所が支えられる利用者数には限りがあります。だからこそ、限られた利用者と人材の双方から「選ばれる」事業所であることが、これからの集客の土台になります。紹介の波に稼働を左右される状態から抜け出すためにも、Webから継続的に相談が入る導線を持っておく意味は、年々大きくなっています。
訪問看護 集客でWebから相談が増えない3つの原因
まず、相談が増えない状態がなぜ起きるのかを切り分けます。原因が分かれば、直すべき場所も見えてきます。介護事業所のサイトでよく見られるのは、次の3つです。
1. 紹介・ケアマネ依存のまま、Webの入口を用意していない
訪問看護も通所介護も、これまではケアマネジャーや病院からの紹介が相談の中心でした。その流れ自体は貴重な資産です。ただ、紹介だけに頼っていると、Webで自事業所を探している利用者やご家族に、見つけてもらう入口がない状態になります。紹介が細ったときの受け皿がなく、稼働が一気に落ちるリスクを抱えたままになります。
2. サイトはあっても、利用者やご家族の不安に答えていない
事業所サイトはあるのに、載っているのが会社概要とサービス一覧、電話番号だけ、というケースは少なくありません。利用者やご家族が本当に知りたいのは、「どんな人が来てくれるのか」「初めてでも大丈夫か」「うちの状態でも対応してもらえるのか」といった、不安に直結する具体です。ここが抜けていると、サイトを訪れても相談まで踏み出せません。
3. 相談の入口が問い合わせフォーム一つで、ハードルが高い
介護の相談は、利用者本人やご家族にとって切実で、勇気のいる一歩です。それなのに入口が形式ばった問い合わせフォームだけだと、「何を書けばいいか分からない」「まだ本決まりでもないのに連絡していいのか」とためらわせてしまいます。相談のハードルを下げる入口が用意されていないことが、機会を逃す原因になります。なお、集客と採用を一つのサイトに詰め込みすぎて、どちらのメッセージも薄まってしまう失敗もよく見られます。採用面の依頼先選びについては採用サイト制作会社の選び方で整理しています。
紹介依存から広げる、介護のWeb集客の進め方
原因が「誰の不安に、どの順で答えるか」の設計にある以上、進め方もそこから入ります。Webからの相談が増えない構造についてはホームページで集客できないというお悩みでも整理していますが、ここでは介護事業所に絞って、4つのステップで見ていきます。
ステップ1:誰の、どの不安に答えるかを決める
最初にやるべきは、読者を分けることです。介護の集客では、少なくとも「利用者本人」「そのご家族」「紹介元のケアマネジャー」という、立場も知りたいことも違う3者が関わります。全員に同じ情報を並べても、誰にも深くは刺さりません。誰の、どの不安に答えるかを決めることが出発点です。下の表は、読者ごとの不安と、サイトで見せるべき情報を整理したものです。
サイトの読者 | 抱えている不安 | サイトで見せる情報 |
|---|---|---|
利用者ご本人 | 知らない人が家に来る怖さ、続けられるか | スタッフの顔と人柄、一日の流れ、初回の進め方 |
ご家族 | 親を任せて大丈夫か、費用はどれくらいか | 対応できる状態や医療的ケアの範囲、料金の目安、相談事例 |
ケアマネジャー | 安心して紹介できるか、連携がとれるか | 対応エリアと受け入れ状況、専門性、連絡・連携の窓口 |
ステップ2:信頼が伝わる情報をそろえる
読者と不安が定まったら、それに答える情報をそろえます。介護で信頼を左右するのは、立派な言葉より「働いている人の顔が見えること」です。実際にケアにあたるスタッフの写真とひとこと、現場の様子、利用者やご家族の声。こうした具体があるだけで、「ここでなら安心して任せられそうだ」という感覚は大きく変わります。良いことだけを並べず、対応できる範囲と難しいケースを正直に書くことも、かえって信頼につながります。
ステップ3:相談のハードルを下げる入口を複数用意する
信頼が伝わっても、相談の入口が重いままでは行動になりません。電話やフォームに加えて、「まず話を聞くだけ」「オンラインで気軽に」といった、温度の低い入口を用意します。アームが介護福祉の事業所を設計した実案件では、現場で働く人と直接話せるオンラインの座談会という入口を用意し、「現場の人と話してみたい」「何も分からないので、まず話だけ聞きたい」という不安に応えられるようにしました。いきなりの申し込みではなく、一段軽い一歩を挟むことで、相談への心理的なハードルが下がります。
ステップ4:公開後に更新しながら育てる
サイトは公開して終わりではありません。受け入れ状況や対応エリア、スタッフの入れ替わりは変化します。情報が古いままだと、せっかく訪れた人の信頼を損ねます。空き状況や新しいスタッフの紹介、相談事例を少しずつ足していくことで、サイトは相談を呼ぶ資産として育っていきます。
訪問看護と通所介護では、集客で効く見せ方が違う
ここまでは訪問看護と通所介護に共通する進め方を見てきましたが、相談を実際に増やすには、両者の違いを踏まえて見せ方を変える必要があります。同じ介護でも、相談する人の不安も、決断までの流れも違うため、Webで前に出すべき情報が変わります。まずは違いを整理します。
比較の軸 | 訪問看護 | 通所介護(デイサービス) |
|---|---|---|
主な対象 | 自宅で医療的ケアや療養が必要な方 | 自宅で暮らしながら、日中を過ごす場を求める方 |
決め手になる不安 | 医療的にどこまで対応できるか、急変時に来てくれるか | どんな一日を過ごすのか、その場になじめるか |
意思決定に関わる人 | ご家族・主治医・ケアマネジャーの比重が大きい | ご本人とご家族が「通いたいか」で動く比重が大きい |
効きやすい導線 | 専門性と連携体制、24時間対応の明示 | 一日の流れの可視化と、体験利用の入口 |
この違いを踏まえず、訪問看護と通所介護を同じ見せ方でまとめてしまうと、どちらの相談も動きにくくなります。次に、それぞれで特に効くことを具体的に見ていきます。
訪問看護の集客で特に効くこと
訪問看護の集客で最も効くのは、医療的な不安に具体で応えることです。訪問看護を検討する利用者やご家族は、「この状態でも来てもらえるのか」「夜に急変したらどうなるのか」という、命や体調に直結した不安を抱えています。ここに曖昧なまま答えないことが、ほかの事業所との差になります。
対応できる医療的ケアの範囲を、具体的に書く
「看護師が訪問します」だけでは、利用を検討する人の不安は解けません。点滴や褥瘡の処置、在宅酸素、ターミナルケアや看取りへの対応など、どんな状態やケアに対応できるのかを具体的に書きます。あわせて対応が難しいケースも正直に示すことで、ご家族もケアマネジャーも安心して相談できます。訪問看護は医療的な期待が大きいぶん、対応範囲の明示がそのまま相談の後押しになります。
主治医・病院との連携体制を見せる
訪問看護は、主治医の指示書(※訪問看護指示書。医師が訪問看護の必要性と内容を指示する書類)にもとづいて動きます。だからこそ、ご家族やケアマネジャーは「主治医や病院ときちんと連携してくれるのか」を気にします。どの医療機関と連携実績があるか、退院時のカンファレンスにどう関わるか、情報共有をどう行うかを見せると、医療者側からの信頼も得やすくなります。ここは通所介護にはない、訪問看護ならではの訴求点です。
24時間対応と、急変時の動きを明示する
在宅療養で最大の不安は、夜間や休日の急変です。24時間対応の有無、連絡から訪問までの流れ、オンコール体制をはっきり書くことは、訪問看護の集客で最も効く情報の一つです。「何かあったとき、すぐ来てもらえる」という安心が伝わるかどうかで、ご家族が任せる決断は大きく変わります。
訪問看護のホームページに載せるべき情報
訪問看護の集客では、選ばれる理由が伝わるだけでなく、訪問看護のホームページに何を載せるかという具体も同じくらい重要です。利用者やご家族、ケアマネジャーは、サイトを開いた瞬間に必要な情報が見つかるかどうかで、相談するかどうかを判断しています。ここでは前の章までの内容を踏まえて、訪問看護のホームページのどのページに、どのくらいの粒度で書くかという実装の話に絞って整理します。
訪問看護の対応エリアと営業時間は、ホームページのどこに置くか
対応エリアと営業時間は、専用ページを1枚作るより、トップページのファーストビュー直下と、全ページ共通のフッターの2か所に置くのが実用的です。トップページ側は、対応する市区町村名を具体的に並べ、地図を1枚添える程度の粒度で足ります。フッター側には事業所の住所・電話番号・受付時間をまとめ、どのページから読み始めても確認できるようにします。営業時間は「平日9時〜18時」で終わらせず、24時間対応やオンコールの有無、夜間・休日の連絡先まで行を分けて書くのがポイントです。アームが介護福祉の事業所サイトを設計した実案件でも、対応エリアを冒頭に置いたことで、問い合わせ前に電話で確認する手間を減らせたという声をいただいています。
相談から訪問看護の利用開始までの流れは、ホームページのどのページに書くか
相談から利用開始までの流れは、独立したページにするより、問い合わせフォームの直前に置くのが効きます。フォームだけのページを用意するのではなく、「ご利用の流れ」を4〜5つのステップ見出しで並べ、その下にフォームを続ける1ページ構成にします。各ステップは、誰が何をするか(電話やフォームでの相談、主治医への指示書の依頼、初回訪問と契約、サービス開始)と、目安の日数を1〜2行添える粒度が読みやすいところです。料金は同じページで、介護保険の自己負担割合によって変わるという前提と目安にとどめ、個別の金額は相談時に案内する旨を明記します。こうしておくと、フォームを開いた人が「連絡した後に何が起きるか」を読んだうえで送信でき、問い合わせのハードルが下がります。
通所介護(デイサービス)の集客で特に効くこと
通所介護の集客で効くのは、一日をどう過ごせるのかを、その場が目に浮かぶまで見せることです。通所介護を検討する利用者やご家族が知りたいのは、医療的な処置よりも「どんな雰囲気で、どんな時間を過ごすのか」「本人がなじめそうか」という、暮らしの手ざわりに近い不安です。文字の説明だけでは、この不安は解けません。
一日の流れとレクリエーションを、写真で見せる
送迎、入浴、昼食、機能訓練、レクリエーション、そして帰宅まで。通所介護の一日を時間の流れに沿って、写真とともに見せます。楽しそうに過ごす利用者の表情やレクの様子、食事の風景が伝わると、「ここなら本人も楽しめそうだ」という納得につながります。通所介護は日中の居場所を選ぶ相談なので、雰囲気が伝わることが何より効きます。
送迎の範囲と、設備・サービスを具体的に書く
通所介護では、送迎してもらえるか、入浴や機能訓練があるか、認知症の方に対応しているかといった具体が、利用できるかどうかを左右します。送迎の対応エリア、入浴設備、機能訓練の内容、食事へのこだわりを具体的に書くことで、ご家族は「うちの状況でも通える」と判断しやすくなります。
体験利用への導線を、いちばん目立つ場所に置く
通所介護の集客で相談のハードルを下げる決定打が、体験利用です。いきなり契約するのではなく、まず一日過ごして本人に合うか確かめられることは、ご本人にもご家族にも大きな安心になります。体験利用の申し込みや問い合わせの入口を、サイトの目立つ場所に置くことをおすすめします。訪問看護以上に「まず試したい」という気持ちが強いのが、通所介護の相談の特徴です。
介護のWeb集客でよくある失敗
進め方と裏表の関係で、つまずきやすいポイントも挙げておきます。着手前の自己点検に使ってください。
- サイトを作ること自体が目的になる。公開した時点で満足してしまい、誰の相談も動かないまま放置されます。
- いきなり広告に費用を投じる。受け皿となるサイトが不安に答えていないまま広告で人を集めても、費用は使った分だけ流れていきます。
- 良いことしか書かない。対応できないケースを隠すと、紹介後のミスマッチや、ケアマネジャーからの信頼低下につながります。
- 集客と採用を一枚に詰め込む。伝える相手が混ざり、利用者にも求職者にも中途半端な印象になります。
アームが考える、介護のWeb集客の向き合い方
作る前に、誰のどの不安に答えるかを決める
アームは、デザインの見た目から入りません。まず事業を分解し、利用者・ご家族・ケアマネジャーのどの不安に、どの順で答えるのかを一緒に整理します。相談を動かすのは、きれいさではなく、不安への的確な答えだと考えているからです。
紹介依存を否定せず、Webで信頼の入口を増やす
紹介が中心であること自体は、地域に根ざした強みです。それを否定して「これからはWebだ」と煽るのではなく、紹介という土台を残したまま、Webでも信頼が伝わる信頼の入口を増やすという考え方でご一緒します。既存の関係を壊さず、そこに新しい相談の流れを足していく発想です。
「まず話を聞きたい」に応える、軽い相談導線まで設計する
介護の相談は重い決断です。だからこそアームは、いきなりの申し込みではなく、まず話を聞きたいという気持ちに応える軽い導線まで設計します。前述のオンライン座談会のように、「現場で働く人と話したい」「気軽に参加したい」という不安の一つ手前に入口を置くことで、はじめての方でも一歩を踏み出しやすくなります。
何から手をつければいいか分からない段階でも構いません。現状の整理からご一緒します。
よくある質問
訪問看護や通所介護でも、Web集客は本当に効果がありますか?
あります。利用者やご家族は、紹介を受けた後でも事業所名で検索し、サイトを見て安心できるかを確かめています。相談の最終判断を後押しする意味で、Webの役割は年々大きくなっています。
紹介がメインでも、事業所サイトを作る意味はありますか?
あります。紹介で名前を聞いた人が最初に見るのがサイトです。ケアマネジャーが紹介する際にも、しっかりしたサイトがあれば安心して勧めやすくなります。紹介を後押しする道具として機能します。
広告を出せば、すぐに利用者の相談は増えますか?
受け皿となるサイトが不安に答えていなければ、広告で人を集めても相談にはつながりにくいです。まずサイトで信頼と相談導線を整え、その上で広告を検討する順番をおすすめします。
ケアマネジャー向けと、利用者・家族向けは、分けたほうがいいですか?
知りたいことが違うため、ページや導線を分けて設計するのが効果的です。ケアマネジャーには対応範囲や連携のしやすさを、利用者・ご家族には人柄や初回の流れを中心に見せると伝わりやすくなります。
集客と採用は、同じサイトで両立できますか?
両立は可能ですが、入口とメッセージは分ける必要があります。利用者向けと求職者向けを混ぜると、どちらも薄まります。導線を分けたうえで、それぞれの不安に答える設計にすると成果につながります。
訪問看護と通所介護で、サイトの作り方は変えるべきですか?
変えるのがおすすめです。訪問看護は医療的な対応力や主治医・病院との連携、24時間対応の安心が決め手になります。通所介護は一日の過ごし方や雰囲気、体験利用のしやすさが効きます。同じ介護でも、前に出す情報を変えると相談につながりやすくなります。
まず何から始めればいいですか?
大がかりな作り直しの前に、利用者・ご家族・ケアマネジャーそれぞれの不安を書き出すところから始めてください。誰の不安に答えるかが決まれば、サイトに載せるべき情報と、次の一歩が見えてきます。
まとめ
訪問看護や通所介護の集客でWebから相談が増えないのは、事業所サイトを作ること自体が目的になり、誰の不安にどの順で答えるかが抜けているからです。紹介という土台を活かしながら、利用者・ご家族・ケアマネジャーそれぞれの不安に答える情報をそろえ、相談のハードルを下げる導線まで用意することで、紹介依存から一歩広げる集客の形が見えてきます。訪問看護なら医療的な対応力と連携、通所介護なら一日の過ごし方と体験利用と、それぞれの強みを前に出すことが大切です。
まずは、自事業所に相談してくる人がどんな不安を抱えているかを書き出すところから始めてみてください。そこが、Web集客を成果につなげる出発点になります。




