
アーム代表の伊藤です。
llms.txtを設置したドメインの97%は、1か月に1リクエストも受けていませんでした(Ahrefs・13万7,210ドメイン実測)。
Google検索でも作っても害も益もないと公式が書いています。それでも書くと決めたなら手を動かすのは5分です。
llms.txtは設置しても「害も益もない」提案段階のファイル
- 要約とリンクを1枚にまとめた提案ファイル
- Google検索では害も益もないと公式
- 採否は効果でなく5分の工数配分の話
llms.txtとは、AI向けにサイトの要約と主要ページへのリンクをMarkdown形式で1枚にまとめた提案段階のファイルです。サイトのルート直下(例: https://example.com/llms.txt)に置きます。2024年9月3日にAnswer.AIのJeremy Howard氏がllms.txt提案(llmstxt.org)として公開し、2026年8月時点でどの標準化団体にも採択されていません。AI事業者に対応の義務もありません。
設置してもプラスにもマイナスにもならない。これが2026年9月17日時点で公式見解と実測から言える答えです。根拠は実測2件と公式見解2件で、どれも同じ方向を向いています。
設置しても97%は1度も読まれていない
案内図を置いた店の97%で、1ヶ月間その案内図を手に取った客が1人もいなかった。Ahrefsのllms.txt実測調査(2026年6月15日公開)が示したのは、この事実です。対象は自社のアクセス解析を入れている13万7,210ドメイン、うち28%がllms.txtを設置し、設置ドメインの97%は2026年5月に1リクエストもなしでした。
読みに来た残り3%の内訳も示唆的です。最多はllms.txtの有無を調べるSEO監査ツール(21.7%)で、AI検索の取得ボットは1.1%でした。
リクエスト元 | 割合 |
|---|---|
1ヶ月間ゼロ | 設置の97% |
SEO監査ツール | 全体の21.7% |
AI回答用の取得ボット | 全体の1.1% |
設置とAIからの引用に相関がない
SE Rankingのllms.txt調査(2025年11月7日公開)は、約30万ドメインでその設置とAIでの引用のされやすさを分析しました。設置率は10.13%。機械学習モデルで引用行動を予測したところ、llms.txtの有無という変数を外したほうが予測精度が改善しました。設置は引用を説明する要因になっていません。
項目 | 結果 |
|---|---|
設置率 | 10.13% |
設置と引用の相関 | 確認できず |
変数を外すと | 予測精度が改善 |
「使っている」と表明したAIシステムがない
Google検索セントラルのAI最適化ガイド(英語版の最終更新2026年7月10日・日本語版は10月9日)は、Google検索に新しいAI向けファイルは不要だと明記しています。Google検索自身は使っておらず、作っても検索での可視性・順位に「害も益もない(neither harm nor help)」とあります。ほかのサービスのために置いて維持するのは「まったく問題ありません」とも書いています。GoogleのJohn Mueller氏もBlueskyでの発言(2025年6月17日)で「FWIW no AI system currently uses llms.txt.(参考までに、現時点でllms.txtを使っているAIシステムはない)」と述べました。
主要AI事業者が自社のAIでllms.txtを読むと公式に表明した事実は、2026年10月11日時点の照合でも確認できません。ただしGoogleのChromeチームは、2026年5月からLighthouseの監査項目にllms.txtを加えています。
発信元 | 見解 |
|---|---|
Google公式ガイド | 害も益もない |
Mueller氏 | 2025年6月は使うAIなし |
主要AI事業者 | 利用表明なし |
効果を示す資料も、害を示す資料も、この照合の範囲では1つも見つかりません。だからllms.txtの採否は「効果があるか」ではなく、5分で終わる無害な作業に5分を割くかという工数の話に収まります。
設置率が28%と10.13%で開く理由
設置率がAhrefsで28%、SE Rankingで10.13%と開いているのは母集団の違いです。Ahrefsの対象はアクセス解析ツールを入れている、施策への感度が高いドメイン群なので、Web全体の実態はこれより低い側にあると読むのが自然です。
それでも書くなら、必要な要素はMarkdownでたった3つだけです。
それでもllms.txtを書く場合の、5分で終わる書き方
- 構造はH1・引用要約・リンクリストの3つ
- 掲載は主要ページ5〜10本で十分
- 更新はURL変更時のリンク修正のみ
実測を知ったうえで「無害なら置いておく」と決めた方向けに、最小限の手順だけを書きます。凝る理由がないので凝りません。
手順1: Markdownで3つの要素を書く
提案元の仕様で決まっている構造は3つだけです。H1でサイト名、引用ブロック(>)で短い要約、H2見出しの下に「[ページ名](URL): 説明」の形式のリンクリスト。テキストエディタで次のように書きます。
# サイト名
> サイトの内容を1〜2文で要約する。
## 主要コンテンツ
- [サービス紹介](https://example.com/services): 提供内容と料金の目安
- [導入事例](https://example.com/works): 業種別の事例一覧
- [よくある質問](https://example.com/faq): 契約前によくある質問と回答
載せるのは、AIに引用されたら嬉しい主要ページを5〜10本で十分です。全ページを列挙する必要はありません。
手順2: ルート直下に置いて表示を確認する
ファイル名を「llms.txt」にして、サイトの公開ディレクトリの最上位にアップロードします。ブラウザで「https://あなたのドメイン/llms.txt」を開き、中身がそのまま表示されれば完了です。WordPressでも特別な手順は要りません。専用プラグインを探すより、サーバーのファイルマネージャーかFTPでルート直下に置くのが早いです。
更新は、掲載URLが変わったときにリンクを直す程度で足ります。読みに来るAI検索の取得ボットはごく少数なので、定期的な工数をかける理由はありません。
提案書にllms.txt設置が入っていたら、見るのは費用の行だけ
- 位置づけは5分で置ける無害な保険
- 確認点は根拠の日付と計上額
- 問題は月額を払い続ける機会損失
アームはllms.txtを「5分で置ける無害な保険。ただし施策として売り買いするものではない」と位置づけています。設置が提案書に入っていること自体は問題ではありません。見るのはその行にいくら付いているかです。
単発の軽作業か月額の主力か
「必須です」「やらないと乗り遅れます」と言われて言い返せなかった。それは無理もありません。根拠の資料と日付を示されていなければ、比べようがないからです。見るのは3点。根拠(提案元・公式見解・実測)のリンクと日付があるか。必須と言い切っていないか。そしてこの作業にいくら計上されているか。
提案書の扱い | 判断 |
|---|---|
単発の軽作業 | 実害なし |
月額施策の主力 | 費用配分を見直す |
根拠に日付がない | 出典を聞く |
「必須」と言い切り | 鮮度を確かめる |
この記事の日付と提案書を突き合わせれば、根拠の鮮度は数分で分かります。
5分の作業に月額を払い続けること
問うべきは設置の手間ではなく、効果の実測がないllms.txtを主力施策として売る相手に月額を払い続ける機会損失です。同じ予算を、引用されるに値する、自社にしか無い情報の制作に回せば、検索とAIの両方で働く資産が残ります。
費用の行き先 | 1年後に残るもの |
|---|---|
ファイルの設置 | 読まれないファイル |
引用される中身づくり | 検索とAIで働く資産 |
この記事の答えも2026年9月17日時点のものです。AI事業者が公式対応を表明すれば前提が変わるので、いつ、どの資料を根拠に判断したかを社内に残しておくと、見直しのコストが下がります。
この記事で線引きできるのは、提案書の中のこの1行だけです。行の中身をまとめて見てほしいなら、AIO対策代行(AI検索最適化)で確認します。
5分以上かける工数は、llms.txtでなくここに回す
- Google推奨は独自コンテンツと技術構造
- AI向けの専用ファイルは不要とGoogleが明言
- 本体は独自の情報を普通のHTMLで置くこと
Googleの前述の公式ガイドが挙げる施策のうち、中心になるのは次の5つです。
- 独自性のある、他で読めない価値を持つコンテンツを作る
- クローラーが読み取りやすい技術的な構造を保つ
- 内容に合った画像・動画を使う
- Search Consoleで生成AI経由の表示を計測する
- 従来のSEOのベストプラクティスを続ける
Google自身がAI向けの専用ファイルやマークアップを新たに作る必要はないと言っています。アームの言葉にすると、AI検索対策(AIO)の本体は、AIが引用したくなる自社にしか無い情報を、機械が読み取れる普通のHTMLページとして置くことです。
※LLMO…AI検索で自社サイトが引用・推薦されるようにする最適化のこと。
robots.txtとの違い
- llms.txtはAIに要約を示す
- クロール制御はrobots.txtが担う
- 検索エンジンへの申告はsitemap.xml
llms.txtは要約を渡すだけで、クロール制御も検索エンジンへの申告もできません。
ファイル | 役割 |
|---|---|
llms.txt | AIに要約と主要リンクを示す |
robots.txt | クロールの可否を伝える |
sitemap.xml | URLの一覧を伝える |
robots.txtとsitemap.xmlは検索エンジン各社が対応し、主要クローラーが取得しています。llms.txtは提案段階で、クロールを制御する機能がありません。AIのクローラーを拒否したい場合はrobots.txtの側で指定します。llms.txtは「読んでほしいものの案内」であって、「読ませない」道具ではありません。
よくある質問
llms-full.txtも作るべきですか?
提案元llmstxt.orgのページ(2026年8月のv2)で仕様として確認できたのは、llms.txt本体の構造と、各ページのMarkdown版(.md)を置く提案です。llms-full.txtの規定は見当たりませんでした。以前紹介されていたllms-ctx.txtなどの文脈展開ツールはv2で提案から外れており、効果の期待値は本体と同じです。
今後llms.txtが標準になる可能性はありますか?
あります。提案は2024年9月の公開以来コミュニティに開かれており、AI事業者のどこかが公式対応を表明すれば状況は変わります。だから「2026年9月17日時点ではどの資料も効果を示していない」という日付つきの判断にしておき、前提が変わったら見直します。
llms.txtは、97%が読まれず5分の工数を割くかどうかの判断になる
- 設置したドメインの97%は1ヶ月間1リクエストもない
- Google検索では害も益もない・置くなら5分で済ませる
- 浮いた予算は引用される中身づくりに回す




