
アーム代表の伊藤です。
AI検索対策として営業される高額なオプションの大半は、公開後に買い足す特別な施策ではありません。要件定義・情報設計・コンテンツ制作・実装という制作の4工程に、すでに含まれています。
Googleも、AI検索(AIによる概要)への表示に追加要件は不要だと明言しています。AI検索対策として特別な最適化も不要です(Google検索セントラル・2026年9月17日確認)。
AI検索対策は今の制作にすでに入っている。後から足せるのは観測と追記だけ
- 後から同コストなのは観測と追記だけ
- 要件定義〜実装の4工程は後からだと手戻り
- 高額提案は手戻りコストの後乗せ
AI検索対策としてよく挙げられる施策の多くは、ホームページ制作の特定の工程にそのまま対応しています。
工程 | 作り込むこと | 後回しの手戻り |
|---|---|---|
要件定義 | 誰の質問に答えるかを定義 | 骨格からの作り直しに近い |
情報設計 | 見出し・FAQ・内部リンク設計 | 構成の組み替えが必要 |
コンテンツ制作 | 定義文・一次情報・比較表の作成 | 該当ページのリライトが必要 |
実装 | クロール構造・表示速度の最適化 | 開発工数が再発生 |
公開後 | AIの言及観測・追記修正 | 後からでも同コストで対応可 |
後から動かせるのは一番下の1行だけ
表の一番下、観測と追記だけが公開後でも同じコストで足せます。それより上の4つは、後から直そうとすると作り直しに近い手戻りが発生します。
AI検索対策の営業提案が高額になりやすい背景には、この手戻りコストを後乗せで売っているケースが少なくありません。制作やリニューアルの機会があるなら、そこで組み込むのがいちばん安く済むタイミングです。
この記事の出典と時点について
本記事のGoogleの見解は、検索セントラルの公式ドキュメントを2026年9月17日に確認したものです。生成AIの利用率は総務省の白書、ゼロクリックの数値は公開された実験論文によります。仕様の変化が速い領域なので、判断の前に最新の記載をご確認ください。
「AI検索対策に追加費用が要る」というのは誤解
- Googleは追加要件なしと公式に明言
- AI向け新ファイル作成も不要と明言
- 土台は従来のSEOと同じ
「AI検索対策には、従来のSEOとは別の特別な施策が必要」というのは誤解です。Googleは検索セントラルの公式ドキュメントで明言しています。「コンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」(出典: Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」、2026年9月17日確認)。
さらに「新たにコンピュータが解読可能なファイルやAIテキストファイル、マークアップを作成する必要はありません」とも書かれています。
土台は従来のSEOとまったく同じだった
つまり土台は、従来のSEOのベストプラクティスそのものです。AI検索対策とは、人にもAIにも分かりやすいサイトという同じ方向に、これまでより一段丁寧に取り組むことです。
AI検索対策の中身
AI検索対策とは、GoogleのAI Overviews(AIによる概要)やAIモードのための取り組みです。生成AIが回答を作るときに、自社の情報が引用・参照されるようにします。
さらにおすすめとして推薦されやすいようサイトを整えます。AIO・LLMO・GEOなど呼び名はいくつかありますが、指している中身はほぼ同じです。
背景にあるのは情報収集の入り口の変化です。総務省の調査では、生成AIを使ったことがある人の割合(20歳以上)は2024年度の26.7%でした。
2025年度は52.2%へ、1年で25.5ポイント上昇しています。同白書には15〜19歳を含む58.8%という数値もあります。比較には20歳以上の52.2%を使います(出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年)、2026年7月時点で内容を確認)。
AIによる概要が表示される環境と表示されない環境を比べたフィールド実験があります。表示される群では、オーガニック検索経由のクリックが39.8%減りました。クリックの発生しない検索(ゼロクリック)は34.5%増えました(出典: Saharsh Agarwal・Ananya Sen「The Impact of Google AI Overviews on Publisher Traffic and User Experience: Evidence from a Field Experiment」(SSRN、2026年))。
見積書に工程ごとに何を入れればいいか
- 要件定義は誰の何の質問かを一文で
- 構造化データはGoogleが不要と明言
- 後回しにできるのは観測と追記だけ
それぞれの工程でAI検索対策として具体的に何をするのか、掘り下げます。
発注前に「誰の、どんな質問に答えるか」を一文で決める
AI検索対策の土台は、デザインでも実装でもなく要件定義です。「このサイトは、誰の、どんな質問に答えるためのものか」を一文で定義できていないと、後続のすべての工程がぶれます。
見た目のリニューアルだけを目的にしたAI検索対策の要件定義書には、この一文が抜けていることがほとんどです。
見出し・FAQ・内部リンクは同じ設計図でつくる
見出し階層、FAQ、内部リンクは別の作業に見えて、実はAI検索対策としての情報設計の中で決めるべきものです。
「このページで何を聞かれ、どう答え、次にどこへ送るか」を1枚の設計図にまとめておくと、継ぎ足しの改修にならずに済みます。
社内の一次情報を「言い切れる」文章に変える
自社にしか書けない一次情報こそが、AI検索対策としての引用価値になります。営業資料、よくある質問への回答、現場の失敗談を、「〇〇とは、〜です」と一文で言い切れる定義文の形に翻訳するのが、このフェーズの本体です。
クロールと表示速度は、公開後に直すと工数が二重にかかる
クロールできる技術構造と表示速度は、URL設計やテンプレートの組み方に紐づきます。公開後に足そうとするとテンプレートに手が入り、開発工数がもう一度発生します。
設計段階で、どのページをAI検索対策としてインデックスさせるか、画像や動画の扱いまで決めておけば避けられます。
目的 | AI検索対策 |
|---|---|
リッチリザルト | 実装の意味あり |
AI検索の引用 | 不要 |
見せたい要素があるページはリッチリザルト目的で実装する意味がありますが、AI検索の引用のためだけなら要りません。
「AI検索対策として構造化データを実装します」という提案を受けたときは、リッチリザルトの話とAI検索の話が混ざっていないか確かめてください。
観測と追記だけは後回しにしていい
観測と追記だけは公開後に始めても遅くありません。公開前に完璧を目指すより、AIにどう言及されているかを見ながら直し続ける方が実務的です。焦っていいのはここだけです。
表示速度についてGoogleは、Core Web Vitalsを使うと公表しています。同時に「単一のシグナルはありません」とも書いています。出典は、Google 検索セントラル「ページ エクスペリエンスが Google 検索の検索結果に与える影響について」です(2026年9月17日確認)。
構造化データはこの工程には含めていません。Googleは前掲のGoogle 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」で言及しています。そこでは「特別な schema.org の構造化データを追加する必要もありません」と明言しています。
すでにサイトがあるなら、部分修正か作り直しかの見分け方
- 見出し拾い読みで伝わるかが目安
- 分かれば部分修正、分からなければ再設計
- 他人に見出しだけ読ませて確認する方法
すでに公開しているなら、部分修正で足りるか、情報設計からやり直すべきかが悩みどころです。見出し(H2・H3)だけを拾い読みして、サイト全体で何を伝えているかが分かるなら、部分修正で足ります。
定義文・FAQ・一次情報を既存の構成に足していくだけで、多くの場合十分に効果が出ます。
逆に、見出しを拾っても何のサイトか分からない場合は、情報設計からのやり直しが必要なサインです。この状態で表面のテキストだけを直しても、AIにも人にも伝わる構造にはなりません。
判断に迷ったら、まず自社の主要ページの見出しだけを紙に書き出してみてください。赤の他人が読んで意味が通るかを確認します。
営業提案でよく出る「AI対策オプション」、断っていい3つ
- llms.txtは設置自体に害はない
- SEO抜きのAI対策は基礎なき屋根
- 効果を確約する契約は期待感を売る営業
営業トークでよく耳にするものの、慌てて買う必要のないものを3つ挙げます。「AIのサポート」「関連ワード無制限」といった説明が契約に紛れ込むこともあります。内容を理解しないまま契約を迫られたという相談も、公開されている場で見られます。
分からないまま高い買い物をしないための判断基準として使ってください。
llms.txtなど、AI専用ファイルの量産
llms.txt(AI向けにサイト情報をまとめたテキストファイル)の設置自体に害はありません。ただしGoogleは「新たにAI向けのファイルやマークアップを作成する必要はない」と明言しています。
「設置すればAIに載ると効果を確約する提案」は、その時点で説明が正確でないと考えてよいです。
「SEOをやめてAI対策に」という二択の提案
この二者択一は構図として誤りです。GoogleのAI機能に表示される前提は、検索にインデックスされていることです。SEOの土台を飛ばしてAI検索対策だけを買うのは、基礎工事をせずに屋根だけ発注するようなものです。
「AIに載ります」と効果を確約する契約
AIの回答に何を載せるかはAI側が決めることで、外部から確約はできません。「必ず載せます」「順位を保証します」という言い切りは要注意です。効果の説明ではなく期待感を売る営業と判断してよいです。
3つに共通する判断基準は、公開後にすぐ効果が出ると謳っているかどうかです。本当に成果につながるAI検索対策のほとんどは、制作の設計段階でしか安く作り込めません。
アームの観測データ
- 見出し・出典・一次情報翻訳を標準搭載
- 直近1週間で表示回数は前週比約484%
- 問い合わせへの導線設計はまだ強化中
アーム自身も見出し階層の明確化、出典の明示、一次情報の翻訳を制作に標準で組み込んでいます。詳しくはAI活用とアームのスタンスにまとめています。
あわせて、著者情報や実案件、数値の開示も行っています。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)対策としてではありません。読者が発注判断をするために必要な情報開示として行っています。
2026年7月上旬の直近1週間では、検索での表示回数が前週比で約484%まで伸びました。サイトのセッションも約347%まで伸びています。ただしこれは、コンテンツを増やして認知の入り口を広げたことによる流入増です。
各工程の作り込みの効果を切り分けて測った数字ではありません。正直に言うと、この流入を商談につながる問い合わせに変える内部リンクとCTAの設計は、現在進行形で強化している段階です。
買い手はまずAIに聞いて候補を絞り、人の目で公式サイトやコラムを訪れて裏取りします。引用はAIが回答の素材に選ばれることで、引用元リンクがクリックされることはまれです。AI検索対策として事業の意味を持つのは、推薦の対象になり質の高い問い合わせに変わるかどうかです。
だからAI検索対策を制作段階で組み込むときは、「引用されるページ」の設計だけで終わらせません。「引用されて訪れた人が次に何をするか」まで同じ設計に含めます。
- 引用されることだけを目的にしたAI検索対策:定義文とFAQを整えて終わり
- 選ばれることまで見据えたAI検索対策:整えたうえで、事例や相談への内部リンクを置く
前者でも露出は増えますが、後者でなければ、納得して来る問い合わせは生まれません。
アームがAI検索対策で最初にやること、後回しにすること
- 見た目より先に情報の設計を優先
- 強いのは外注ライターでなく社内の具体
- 公開後も観測しコンテンツを育てる
アームがAI検索対策で最初にやるのは見た目ではありません。「このサイトは何を、誰に、どの順で伝えるのか」という情報の設計です。
構造が壊れたサイトにAI検索対策を足しても、穴の空いたバケツに水を注ぐことになります。
コンテンツの原石は、外注ライターの一般論ではありません。その会社の中にしかない具体です。ヒアリングで拾った営業や現場の言葉を、一次情報としてサイトに載る形へ翻訳します。
公開して終わりにせず、AIの言及を観測しながら直し続ける体制を設計に含めています。引用されて訪れた読者を、商談につながる問い合わせへ導く導線までです。
AI検索を見据えたサイトの新規制作・リニューアルは、現状の構造を見ながらご相談いただけます。
よくある質問
AI検索対策は本当に必要ですか?今すぐやらないと手遅れになりますか?
手遅れにはなりません。慌ててAI検索対策の契約をする必要はない、というのがGoogle公式の情報から読み取れる答えです。ただし制作やリニューアルの機会があるなら、その段階で組み込むと安く済みます。
AIに引用されるにはどうすればいいですか?
自社にしか書けない一次情報を書くこと、定義や答えを一文で言い切ること、見出しと構造を整理することが基本です。そのうえでAI検索対策として狙うのは、引用の先で名前が挙がる推薦の状態です。
AI検索対策をすると、従来のSEO対策はどう変わりますか?
やめる必要はありません。GoogleはAI機能への表示に追加の要件はなく、特別な最適化も不要と明言しています。土台は従来のSEOベストプラクティスと共通です。
AI検索対策の費用相場はいくらですか?
出典を示せる公的な相場データはまだありません。AI検索対策を単体の施策として後から買うより、ホームページ制作・リニューアルに組み込む方が結果的に安く済みます。費用の考え方や見積もりの見方はAIO対策会社の選び方と費用相場|Googleが不要と言う施策を売る会社の見分け方で詳しく扱っています。
ホームページのリニューアルと、AI検索対策は同時にやるべきですか?
はい、同時に進めるのがいちばん効率的です。要件定義・情報設計・コンテンツ制作・実装の各工程にAI検索対策を組み込むと、後から追加するより手戻りが少なく済みます。
AI検索対策の実体は、特別な新技術でなく良いサイトの条件そのものにある
AI検索対策の実体は、良いサイトの条件そのものです。一次情報のあるコンテンツ、端的な定義、整理された構造、確かな技術的土台です。そのほとんどは要件定義・情報設計・コンテンツ制作・実装の各工程の中に答えがあります。
公開後にできるのは観測と追記に限られます。営業提案を受けたときは、それが公開後にしかできないことか、制作段階でもっと安くできたことかを問い直してみてください。
引用されること自体はゴールではありません。AIが候補に挙げ、裏取りに訪れた読者が納得して相談に来ることが大切です。前提のズレた10件より、納得して来る1件に着地して初めて、投資した意味が生まれます。






