
アーム代表の伊藤です。
業務システムのUIデザインを外注する相談を受けていて感じるのは、発注担当者が本当に恐れているのは金額の妥当性より、良し悪しを判断できないまま契約書に判を押すことだということです。
依頼先は開発会社への一括依頼・デザイン会社との分業・小規模スタジオへの切り出しの3類型で、費用は部分改修の50万円〜から大型一括の300〜1,500万円まで幅があります(2026年9月時点・税別)。見積もりの判断材料は総額ではなく、その画面で何を防げるかです。
この記事では3類型の選び方と費用相場に加え、現場が使われない・入力ミスが減らないという事故を避ける確認軸までを整理します。
業務システムのUIデザインを頼む先は、この3類型に絞れる
- 依頼先はSIer一括・分業・小規模の3類型
- 評価診断は無料・部分改修は50万円〜
- 大型一括は300〜1500万円まで幅
業務システムのUIデザインの依頼先は、開発会社(SIer)への一括依頼、デザイン会社と開発会社の分業、小規模デザインスタジオ・フリーランスへの依頼の3類型に整理できます。
SIer(※システム開発を一括で請け負う会社。システムインテグレーターの略)にすべて任せる形が長らく標準でしたが、いまはデザイン工程だけを別の専門家に頼む座組も選べます。
どの類型を選ぶかで、費用も、現場の使いやすさに対する責任の持たれ方も変わります。
類型 | 向いているケース | 強み |
|---|---|---|
開発会社(SIer)に一括で頼む | 大規模リプレイス。要件が固まっている | 窓口が1つで責任範囲が明確 |
デザイン会社と開発会社の分業 | 予算が確保できる大型案件。業務の調査から見直したい | 調査・UX設計の専門性が高い |
小規模デザインスタジオ・フリーランス | 数十万〜数百万円で始めたい。既存の開発会社を変えたくない | 意思決定が速い。デザイン工程だけの切り出しに柔軟 |
3類型それぞれで、契約前に見落としがちな注意点
- 開発会社(SIer)に一括で頼む:UIデザインの専門職が体制に入るかは会社次第。「画面は最後に整えるもの」になりやすい
- デザイン会社と開発会社の分業:調査込みの一括依頼が前提のことが多く、費用は数百万円〜。会社間の連携設計が別途要る
- 小規模デザインスタジオ・フリーランス:力量差が大きい。業務システムの実績確認が必須
現行UIの評価・診断は無料で、手を入れる段になると部分改修の50万円〜から、調査から開発まで込みの大型一括の300〜1,500万円まで幅があります。総額ではなく、どの課題にいくら配分されているかで比べてください。
この記事の費用表記について
評価・診断からデザインシステム構築までの金額は2026年9月時点のアームの公式料金(税別)、大型一括のレンジは大手制作会社の公表値です。依頼先や時期で変わるため、見積もりの前に最新の金額を確認してください。
業務システムのUIデザインの費用相場と内訳
- 大型一括は300〜1,500万円が相場
- 内訳はUX検討・設計・開発の3配分
- 金額は画面数でなく課題の難易度で決まる
業務システムのUIデザインの費用に、業界共通の定価や公的な統計は存在しません。そのうえで、公表されている実例から幅を示すことはできます。下限側はアームの公式料金、上限側は大手制作会社の公表値で、実際の市場のレンジはこの間に分布しています。
依頼範囲 | 費用の目安(税別) | 内容 |
|---|---|---|
現行UIの評価・診断 | 無料 | 主要フローの課題整理と改善提案 |
部分改修 | 50万円〜 | 特定のフロー・画面群のデザイン |
10画面前後のUIデザイン | 90万円〜 | 設計からデザインまで |
20画面以上のUIデザイン | 250万円〜 | 同上。大規模は別途相談 |
デザインシステム構築 | 50万円〜(一式150万円〜) | 再発防止の共通ルールとコンポーネント整備 |
調査から開発まで込みの大型一括 | 300〜1,500万円 | 大手制作会社の公表レンジ |
診断からデザインシステムまでの金額はアームの公式料金(2026年9月時点、費用と相場の考え方に全表を掲載)です。
上限のレンジは、他社の公表値から引いた
大型一括のレンジは、業務システムのUI/UXデザインを主力とするウェブ制作会社ベイジがサービスページ「業務システムUI/UXデザイン」で公表している「おおよそ300〜1500万円くらいの範囲になることが多い」という値です(2026年8月時点)。
同ページには、20画面のデザイン改善で1,500万円の場合の内訳として、UX検討300万円・画面設計+UIデザイン500万円・開発700万円という配分例も示されています。
内訳から読み取れることは2つ
この内訳例から読み取れることが2つあります。1つは、大型案件では費用の半分近くが開発費であること。もう1つは、デザインの費用は画面の枚数ではなく、UX検討や画面設計といった「考える工程」に厚く配分されていることです。
費用を決めるのは作業量でなく、課題の難しさ
費用を決めているのは作業量ではなく、解決したい課題の難しさです。同じ20画面でも、業務フローが複雑で利用者の職種が幅広いほど、考える工程が重くなります。
逆に言えば、見積もりを比べるときは総額ではなく、どの課題にいくら配分されているかを見てください。内訳を説明できない見積もりは、高くても安くても判断材料になりません。
UIデザイン全般の費用相場と工程ごとの内訳は、同時公開の記事で詳しく整理しています。
予算が固まっていなくても、評価だけは頼める
予算感がまだ固まっていない段階なら、まず現行画面の評価だけを切り出して頼み、課題の大きさを見てから本体の予算を組む順番が安全です。現行画面の評価から相談することもできます。
課題の見立てまでは無料ですので、見積もりを取る前の壁打ちとして使ってください。
業務システムのUIデザインの外注先3類型を、予算と開発会社との関係で絞る
- 確認は体制図でデザイナーの関与
- 分業は数百万円〜・連携設計は発注側
- 見極め軸は実績・小口・接続・内訳の4つ
業務システムのUIデザインの外注先3類型は、予算の規模と、既存の開発会社との関係をどうしたいかで絞り込めます。順に見ていきます。
SIer一括発注、確認は体制図のデザイナー有無だけ
リプレイスや新規開発で、開発とデザインをまとめて任せる形です。窓口が1つで済み、責任範囲も明確です。選ぶ場合の確認点は1つで、UIデザインの専門職が体制図に入っているかどうかです。
「デザインも対応します」という言葉ではなく、誰が・どの工程で・何をするのかを体制図で確認してください。専任のデザイナーが要件定義から入る会社と、実装担当者が画面も作る会社では、同じ「デザイン込み」でも中身がまったく違います。確認を怠ると、出てきた画面案の良し悪しを判断できないまま、言われるがまま受け入れてしまうことになります。
分業は数百万円から、会社間の連携設計も背負う
業務の調査やUX設計を専門のデザイン会社に、開発を開発会社に分ける形です。業務そのものの見直しから入れるのが強みで、大型のリプレイスに向きます。注意点は2つあります。
調査・設計込みの一括依頼が前提の会社が多く、費用が数百万円からになること。そして、デザイン会社と開発会社の間の連携を発注側が設計する必要があることです。
受け渡しの形式と責任分界を最初に決めないと、分業の断絶をもう1つ増やすことになります。
小規模スタジオは数十万円から、力量差の見極めが要る
数十万〜数百万円の規模で、特定の画面群やフローから始められる形です。意思決定が速く、開発と保守は今の会社のまま、デザイン工程だけを切り出して頼む座組にも柔軟に対応できます。一方で力量差が大きいため、業務システムそのものの実績確認が欠かせません。
テンプレ画面は、自社の運び方を映さない
SIer一括発注でもうひとつ見落とされがちなのが、この観点です。大手ベンダーほど複数の顧客に同じ基盤を使い回すため、画面は「多くの会社に共通する業務」を前提に作られます。自社だけの承認フローや、部署ごとの呼び方の違いは、標準機能の外に置かれやすくなります。
発注担当者が本当に避けたいのは、コストの高さだけではありません。時間をかけて選んだはずのシステムが、どの会社が使っても同じ「よくある業務システムの画面」に収まってしまうことです。自社の業務の運び方を画面に反映できるかどうかは、契約前に確認しておく価値があります。
業務システムに強い会社かどうかを見抜く4つの確認軸
類型を問わず、業務システムのデザイン会社を見極める軸は共通しています。次の4つを確認してください。
- 業務システム・管理画面の実績があるか。ホームページやLPの実績とは別の専門性なので、実績の画面種別まで見る
- 現行画面の評価・診断から小さく入れるか。いきなり全面リニューアルしか提案しない相手は、課題より受注を見ている
- 実装との接続を語れるか。デザインデータを渡して終わりなのか、開発会社と併走するのか、受け渡しの方法まで説明できるか
- 見積もりの内訳を課題ベースで説明できるか。「一式」の見積もりは、何にいくら払うのかを判断できない
管理画面のUI改善をどこから着手するかという実務の中身は、別記事で扱っています。依頼前に読んでおくと、提案の質を見分ける目安になります。外注先のタイプを問わず使える選び方の全体像は、こちらにまとめています。
開発会社を変えずに、UIデザインだけを切り出して頼める
- ベイジはデザインのみの依頼を基本お断り
- アームはこの座組を実際に受託
- 受け渡しは4点セットが標準
開発と保守は今の開発会社のまま、業務システムのUIデザインだけを外部のデザイナーに切り出す座組は、実際に成立します。長年の開発会社との関係を壊さずに済み、リプレイスに踏み切る前の改修でも使えるため、情報システム部門にとって現実的な選択肢です。
ただし、この座組を受けられる会社は多くありません。
受けられる会社が少ない、その証拠
たとえば業務システムのUI/UXデザインを主力とするウェブ制作会社ベイジは、サービスページで調査や設計を含まないデザインのみの依頼は「基本的にお請けしておりません」と明記しています(2026年8月時点。設計の見直しを併せて依頼する前提であれば可、とも書かれています)。
大型の制作会社ほど、調査から入る一括依頼が前提になる傾向があります。アームはこのデザイン工程だけを切り出す座組を実際にお受けしており、小規模スタジオの柔軟さが活きる領域だと考えています。
成否を分けるのは、受け渡し物の設計だった
この座組で成否を分けるのは、受け渡し物の設計です。デザインデータを渡して終わりでは、実装の過程でまた断絶が生まれます。アームでは次の4点をセットで受け渡すことを標準にしています。
受け渡し物 | 中身 |
|---|---|
Figmaのデザインデータ | 全画面のデザインと画面遷移 |
コンポーネントとデザイントークン | 部品と色・余白の基準値 |
画面仕様の申し送り | エラー時・0件時・権限の出し分け |
実装後のデザインレビュー | 実装とデザインの差分確認 |
- Figmaのデザインデータ: 全画面のデザインと画面遷移を渡します。開発会社がそのまま参照できる形です
- コンポーネントとデザイントークン: ボタンや入力欄などの部品と、色・余白の基準値です(※デザイントークン…デザインの判断基準を数値として定義したもの)。以後の改修で画面がばらけるのを防ぎます
- 画面仕様の申し送り: エラー時・データ0件時・権限による出し分けなど、デザインだけでは伝わらない状態を定義して渡します
- 実装後のデザインレビュー: 実装された画面とデザインの差分を確認します。「作って終わり」にしないための工程です
発注側が伝言役になると、断絶を持ち込むだけ
コミュニケーション面では、デザイナーが開発会社と直接やり取りできる場を最初に作ることをお勧めしています。発注側が両者の伝言役になる座組は、分業の断絶を社内に持ち込むだけです。
実装の制約はデザインの判断材料そのものなので、間に人を挟まず話せる体制のほうが、結果として発注側の負担も減ります。
開発会社を残したままデザインを切り出せるか迷っている段階でも、デザインだけを切り出す座組について相談することができます。現在の開発体制を伺ったうえで、座組が成立するかの見立てからお答えします。
業務システムのUIデザインは早く頼むほど安い。分かれ目の3つの時期
- 早いほど選択肢多く総額は小さい
- 分かれ目は見積もり前・改修時・要件定義
- 進め方は評価→合意→設計→実装協業の4段階
業務システムのUIデザインを頼むタイミングは、早いほど選択肢が多く、総額は小さくなります。逆に、実装が終わってからの手直しが最も高くつきます。具体的には次の3つのタイミングが分かれ目です。
- リプレイスの見積もりを取る前。現行UIの評価で「作り直しが必要か、改修で済むか」を先に切り分けると、数千万円のリプレイス総額そのものを回避できる場合があります
- 現行システムの改修時。業務システムのUI改善は、現場の不満が具体的に溜まっている今が好機で、不満の一覧がそのまま要件になります
- リプレイスや新規開発が決まっているなら、要件定義から設計の段階。実装が終わってから画面を直すのは、建て終わった家の間取りを動かすようなもので、実装のやり直し分がまるごと上乗せされます
進め方は、頼み方によらず4ステップ
進め方は、どの類型に頼む場合も大きく4ステップです。
- 現状評価。現場の操作を観察し、不満と業務フローを課題の一覧に変換する
- スコープの合意。全画面を一度に直さず、効果の大きいフロー・画面群から優先順位をつける
- 設計とUIデザイン。ワイヤーフレームとデザインを作り、現場の代表者に実際に触ってもらって検証する
- 実装協業と公開後の検証。実装中の仕様判断に伴走し、公開後に迷いが減ったかを確認する
発注側で最初に準備するものは、立派な資料ではなく現場の不満の生の一覧です。どの画面で、誰が、何に困っているか。これが揃っているだけで、見積もりの精度も提案の質も大きく変わります。
業務システムのUIデザインを発注する前の7項目、相見積もりでそのまま使える
- 契約前の確認項目は7つ
- 肝心なのは評価だけ先に頼めるか
- 小さく試すのが最も安い保険
業務システムのUIデザインの発注で失敗を避けるために、契約前に次の7点を確認してください。相見積もりの場でそのまま使える形にしています。
確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
見積もりに内訳があるか | 「一式」ではなく、どの課題の解決にいくらかが説明されているか |
現行UIの評価だけを先に頼めるか | 小さく試して力量を見てから本体を任せられるか |
業務システム・管理画面の実績があるか | 実績の画面種別を確認・ホームページの実績は別物 |
実装との受け渡し方法を説明できるか | デザインデータの形式、仕様の申し送り、実装後のレビューの有無 |
RFPがなくても相談できるか | 完成度を求めすぎる相手は避ける |
現場ヒアリングが工程に入っているか | 発注担当者への確認だけで作る提案は、現場とズレる |
デザインの権利とデータの所有が明確か | 納品後に自社と開発会社が自由に触れる契約になっているか |
- RFPがなくても相談できるか: RFP(※提案依頼書。発注条件をまとめた文書)の完成度を求めすぎる相手は、要件の言語化を手伝ってくれません
とくに大事なのは2つ目です。いきなり数百万円の契約をせず、評価・診断という小さな仕事で相手の力量と相性を確かめる。発注側にとって最も安い保険です。
開発会社に任せるだけで、業務システムのUIが使いにくくなる構造
- 要件定義書に使いやすさは書かれない
- 分業の断絶で入力ミスも増える
- 実例はブックマークなのにハート表示
開発会社に任せるだけで業務システムのUIが使いにくくなりやすいのは、技術力の問題ではなく、役割の違いによる構造的な問題です。
要件定義書に「使いやすさ」は書かれていない
開発会社の責務は「要件どおりに、期日と予算の中で、正しく動くものを作る」ことにあります。要件定義書には機能の一覧は書かれていても、「現場が迷わず使えること」は書かれていません。書かれていないものは、作られません。
よくある誤解が、「使いにくいのは開発会社の腕が悪いからだ」というものです。実際は、求めている職能が違うだけです。UIデザインは、業務の流れを画面の流れに翻訳する仕事で、要件を満たすこととは別の専門性です。作れることと、迷わせないことは、別の技術です。
伝言されるたび、現場の声が画面から消えていく
もうひとつの構造要因が、分業の断絶です。大規模な開発では、要件定義、設計、実装が別の担当者に分かれ、現場の声は何度も伝言されるうちに薄まっていきます。その結果、画面はデータベースの構造をそのまま映した並びになりがちです。
現場は業務の順番で考えているのに、画面はデータの都合で並んでいる。このズレが「どこを押せばいいか分からない」の正体です。
実際に見た画面の一例
アームは設計から実装までを一人で通す立場で仕事をしていますが、途中から入った改善案件で見てきた使いにくさの多くは、この断絶の産物でした。ラベルは「ブックマーク」なのにアイコンはハート、という画面を実際に見たこともあります。悪意も手抜きもなく、分業の隙間で誰も全体を見ていなかっただけです。
入力ミスは、画面の設計次第で防げる
現場からの「使いにくい」という声は、実際には入力ミスの多さとして表面化することがよくあります。Nielsen Norman Groupは、ユーザビリティの10原則の1つに「エラー防止(Error Prevention)」を挙げ、優れた設計は、分かりやすいエラーメッセージより先に、そもそも問題が起きないようにすると説明しています(出典: Jakob Nielsen「10 Usability Heuristics for User Interface Design」Nielsen Norman Group、1994年発表・2024年1月30日更新)。
業務システムでよく見る入力ミスの原因は、似た項目が並ぶ入力欄、必須項目の分かりにくさ、確認画面のないまま実行される更新処理といった、画面設計側で防げるものです。入力ミスは、現場の注意力ではなく画面の設計で決まります。アームでは画面のレビューで、この原則を実際の確認観点の1つとして使っています。
修正3分の積み重ねが、誰かの残業になる
入力ミス1件の修正には、本人の入力し直しと、上長やシステム担当者への確認が発生します。仮に1件あたり3分かかるとして、50人の現場が1日1件ずつミスをすれば、修正だけで1日2時間半、月に約50時間です(単純計算)。この時間は誰かの残業として積み上がります。
残業は、その人の睡眠時間や家に帰る時間を削って埋め合わされます。画面の設計を直すことは、コスト削減である前に、現場の生活時間を守ることでもあります。
使いにくい業務システムのUIを放置すると、毎月160時間が消える
- 迷いの時間は50人で月約160時間
- 人手不足の企業は50.6%・4年連続半数超
- 限界超えると現場はExcelへ逃避
使いにくい業務システムのUIは、故障ではないので誰も報告しませんが、コストは毎月発生し続けます。目に見える障害と違って稟議に載らないだけで、実体は教育コストと作業時間という固定費です。放置のコストは大きく3つに分かれます。
50人が1回30秒迷うだけで、月160時間が消える
1回の入力で30秒迷う画面を、50人の現場が1日20回ずつ使うとします。迷いの時間だけで1日約8時間、月に約160時間です(単純計算)。ひと月まるごと、1人分の労働時間が「画面のどこを押すか考える時間」に消えている計算になります。機能はすべて動いているのに、です。
しかも、この時間は増員で吸収しにくくなっています。
人手不足の統計が、この計算を後押しする
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026年5月発表、有効回答10,538社)によると、正社員の人手不足を感じる企業は50.6%と、4月としては4年連続で半数を超えています。
人が採れない以上、今いる人の時間を食う画面は、そのまま生産性の上限になります。
マニュアルが厚い画面ほど、新人の独り立ちが遅れる
画面が業務の流れと合っていないシステムは、操作マニュアルが厚くなります。新しく入った人が独り立ちするまでの期間が延び、教える側のベテランの時間も奪われます。「研修で覚えてもらう」は、裏返せば「覚えないと使えない画面」ということです。
限界を超えると、現場は黙ってExcelに逃げ出す
「あの画面の使い方はAさんしか分からない」という状態は、退職や異動のたびに業務を止めます。そして使いにくさが限界を超えると、現場はシステムの外にExcelを作り始めます。
データが分断され、システムに投資した意味そのものが薄れていきます。使いにくさの症状がどこから来ているのかを切り分ける方法は、別記事の業務システムが使いにくい原因の切り分け方で詳しく書きました。
業務システムのリプレイスの前に、アームが原因を切り分ける理由
- 原因の切り分けは診察、いきなり手術はしない
- ディレクター無しの一気通貫で対応
- 初回ヒアリングは30〜60分無料
アームが業務システムのUIデザインをお受けするときの考え方は3つあります。
画面か、業務フローか、機能不足か。原因を先に切り分ける
「使いにくい」の原因が画面設計にあるのか、業務フローにあるのか、機能不足にあるのかで、打ち手も費用も変わります。切り分けの前にリプレイスを決めるのは、診察の前に手術を決めるようなものです。アームは評価・診断を単体でお受けし、その結果「改修で十分です」とお答えすることもあります。
ディレクターを挟まず、聞いた本人が設計から実装まで通す
使いにくさの構造要因が分業の断絶にある以上、直す側は断絶を作らない体制で臨むべきだと考えています。アームはディレクターを挟まず、課題を直接聞いたデザイナーが設計から実装協業までを一気通貫で担当します。伝言ゲームが0回なので、現場の声が画面に届くまでに薄まりません。
デザイナーを呼ばないと直せない画面にせず渡す
業務システムは公開してからが本番です。納品物をデザインシステムの形で整えるのは、以後の改修を開発会社や社内で回せるようにするためです。デザイナーを呼ばないと画面を触れない状態にしないことも、受け渡し物の設計に含まれると考えています。
アームは、業務の流れを画面に翻訳する業務システムUI/UXデザインを提供しています。現行画面の評価・診断だけの単体依頼も、開発会社を残したままデザイン工程だけを切り出す座組もお受けしています。
初回ヒアリング(30〜60分)は無料で、課題の見立てまでお答えします。要件の整理がまだでも構いません。業務システムのUIデザインについて相談するからご連絡ください。
よくある質問
業務システムのUIデザインだけを外注できますか?
できます。開発と保守は現在の開発会社のまま、デザイン工程だけを切り出す座組は実際に成立します。ただし対応できる会社は限られるため、受け渡し物と開発会社との連携方法を説明できる相手を選んでください。
リプレイスか改修かが決まっていない段階でも相談できますか?
むしろその段階が最適です。現行UIの評価で原因を切り分けてから決めれば、不要なリプレイスの総額を回避できる可能性があります。決めてからでは、選択肢が減ります。
費用を抑えて小さく始める方法はありますか?
現行UIの評価・診断(無料)か、最も困っているフローだけの部分改修(50万円〜)から始めるのが定石です。効果を確認してから範囲を広げるほうが、社内の稟議も通しやすくなります。
社内にデザイナーがいなくても進められますか?
進められます。それよりも、現場の業務に詳しい方の時間を少し確保してください。ヒアリングと検証に現場が参加できるかどうかが、完成度を大きく左右します。
SaaSプロダクトのUIデザイン外注も同じ考え方ですか?
判断軸は近いですが、社外の顧客が使うSaaSは解約率や競合との比較といった別の論点が加わります。SaaS事業者の方はこちらを読んでください。
デザイナーが入ると、開発会社との関係が悪くなりませんか?
役割分担を最初に合意すれば、むしろ開発会社の負担は減ります。画面仕様の曖昧さをデザイナー側が引き受けるため、開発会社は実装に集中できます。関係がこじれるのは大抵、役割を曖昧にしたまま始めた場合です。
現場から反発されないか心配です
その不安は自然です。現場を巻き込まずに画面だけ変えると、反発は起きやすくなります。ヒアリングと検証の段階から現場の代表者に参加してもらうと、「決められた画面」ではなく「一緒に作った画面」に変わり、反発ではなく協力を得やすくなります。
業務システムのUIデザインは、金額でなく「防げる画面か」で契約を決める
業務システムのUIデザインの依頼先は、開発会社(SIer)への一括依頼、デザイン会社との分業、小規模スタジオへの切り出し依頼の3類型です。評価・診断は無料で、その先の費用は部分改修の50万円〜から大型一括の300〜1,500万円まで幅があり、判断材料は総額ではなく内訳です。
現場が使わなくなる、入力ミスが減らない、ベンダーの画面をそのまま受け入れてしまう。この3つの事故は、契約の前なら防げます。数千万円のリプレイスを決める前に、まずは現場の不満を一覧にし、評価・診断で原因を切り分けることから始めてみてください。







