UI/UXデザイン

SaaS UIデザインの外注はどこまで頼むか?依頼先の選び方と費用の考え方

SaaS UIデザインの外注はどこまで頼むか?依頼先の選び方と費用の考え方

アーム代表の伊藤です。SaaSのUIデザインを外注すべきかは、社内にデザインを言語化する型があるか、画面をまたぐ判断基準が必要になっているか、この2つで決まります。外注で失敗する会社の多くはデザイナー選びではなく、頼む範囲を決めずに頼んだことでつまずいています。本記事では、頼む範囲の4段階、外注先を見極める3つの視点、費用の考え方を発注する側の目線で整理します。

こんな方におすすめのコラムです

  • 「機能は作れる。でもUIまで手が回らない。外注すべきか迷っている」という方
  • 「UI改善が半年以上、機能開発の後回しになっている」という方
  • 「SaaSのUIデザインの依頼先を、どんな基準で選べばいいのか分からない」という方
  • 「診断だけ頼むか、全面的に頼むか、外注の範囲を決めかねている」という方
  • 「前のUI外注は、見た目は変わったのに数字が変わらなかった」という方

SaaSのUIデザインは、外注すべきか(結論)

SaaSのUIデザインの外注とは、プロダクトの画面設計と改善を、社外のデザイン会社や個人のデザインスタジオに委ねることです。

判断の軸は2つです。自社にデザインを言語化する型があるか。そして、画面をまたぐ判断基準が必要になっているか。この2つで決まります。「なぜこのボタンを目立たせるのか」「なぜこの並び順なのか」を言葉で説明できる型が社内にあるなら、外注を急ぐ必要はありません。逆に、画面ごとにボタンの色や文言の判断がばらつき始めているなら、それは担当者のセンスの問題ではなく、基準の不在です。基準がないまま画面を増やすのは、測量をせずに増築を重ねる家に似ています。一部屋ずつは成立していても、廊下がつながりません。

もうひとつ大事なのは、UIデザインの外注を「見た目の外注」と捉えないことです。SaaSのUIは、解約率、オンボーディングの完了率、商談でのデモの通りやすさ、サポート工数と、事業の数字に直結しています。外注は制作費ではなく、これらの数字を動かすための投資として判断するのが正確です。

外注する前に決める「設計スコープ」

依頼先を探す前に、どの範囲を頼むのかを決めます。SaaSのUIデザインの外注は、大きく4つの段階に分けられます。

スコープ

内容

向いている状況

UI診断

現状の画面と利用状況を分析し、課題と優先順位を出す

何が問題かをまだ言語化できていない

個別画面の改善

解約や問い合わせに直結する画面から順に直す

課題の当たりがついている

デザインシステム構築

色・部品・文言のルールを整え、画面をまたぐ基準を作る

画面ごとに判断がばらついている

継続改善

リリース後も数字を見ながら改善を回し続ける

社内に専任デザイナーがいない

迷ったら、診断から頼むのが安全です。全面リニューアルを前提にしないこと。診断の結果、直すべき画面は数枚だった、というのはよくある話です。小さく頼んで、相手の仕事の質と自社との相性を確かめてから範囲を広げる。この順番を守れば、外注の失敗はまず致命傷になりません。

SaaS UIデザインの外注先の選び方

スコープが決まったら、次は依頼先です。SaaSのUIデザインを依頼できる会社やデザイナーは増えましたが、見るべきポイントは3つに絞れます。

管理画面・業務システムの改善実績があるか

まず、SaaSの管理画面や業務システムを「改善」した実績があるかを見ます。注意したいのは、グラフィックやLPの実績と混同しないことです。広告やWebサイトは3秒で印象を残す仕事、SaaSのUIは毎日8時間使われても疲れない道具を作る仕事で、求められる筋肉が違います。

実績を見るときは、完成画面の美しさではなく、何がどうズレていて、どう直したかを語れるかを確認してください。たとえばアームが管理画面の改善で実際に直したのは、ラベルは「ブックマーク」なのにアイコンはハートという名前と印の不一致や、条件検索とリセットが同じ見た目で隣に並ぶ配置でした。実例の詳細は管理画面のUI改善はどこから始めるかで解説しています。ズレを言語化して直せる相手か。それが実績の見極めどころです。

利用データや問い合わせログを見に来るか

次に、提案の前に利用データや解約理由、サポートへの問い合わせログを見せてほしいと言ってくるかどうかです。画面だけを見て「こう直しましょう」と即答するデザイナーは、正直なところ危険です。SaaSのUIの課題は画面の中ではなく、ユーザーの操作のつまずきと問い合わせの中に落ちています。検査データを見ずに処方する医者に、体は任せられません。

課題を聞いた人が設計するか(伝言ゲームが起きないか)

最後に体制です。営業やディレクターが要件を聞き、別のデザイナーが作る体制では、伝言のたびに課題のニュアンスが削れていきます。SaaSのUIは業務理解の解像度がそのまま品質になる領域です。課題を直接聞いた人間が設計まで担うかを必ず確認してください。会社の規模より、この一点のほうが仕上がりを左右します。

SaaS UIデザインの外注費用の考え方

費用は「画面数×単価」のような作業量では決まりません。解きたい課題の難しさと、競合の強さで決まります。単純な画面の整理と、複雑な業務フローの設計し直しでは、同じ画面数でも難易度がまるで違います。また、競合が強い市場ではUIそのものが「選ばれる理由」になるため、設計に求められる深さが変わります。

だからこそ、最初から全面リニューアルの見積もりを取る必要はありません。診断や個別画面の改善から始めて、解約率やサポート工数のどの数字を動かしにいくのかを合意し、回収の見通しを確かめながら範囲を広げるのが健全です。効果を事前に保証できる会社は存在しませんが、どの数字を狙うかの合意は着手前に必ずできます。その合意をしない見積もりは、金額の大小にかかわらず高い買い物です。

アームでもUI診断からのご相談を受けています。外注すべきか迷っている段階でも、無料相談で現状を整理するところから始められます。

SaaS UIデザインの外注でよくある失敗

丸投げする(判断まで委ねてしまう)

外注はデザインの実務を委ねることであって、プロダクトの判断を委ねることではありません。誰のどの業務を優先するかを決められるのは、事業側だけです。丸投げされたデザイナーは仮説で判断を埋めるしかなく、仕上がりは必ず現場とズレます。

見た目だけを発注する

「今風のデザインにしてほしい」という発注は、たいてい数字が動きません。色とレイアウトが変わっても、情報の構造とラベルの言葉が同じなら、ユーザーのつまずきはそのまま残るからです。発注書に書くべきは「きれいに」ではなく、どの操作のつまずきを消したいかです。

スコープを決めずに走り出す

範囲を決めずに始めた外注は、途中から要望が積み上がり、費用も納期も膨らみます。前述の4段階のどこを頼むのかを契約前に一枚で合意しておくだけで、この失敗の大半は防げます。

アームのSaaS UIデザインの考え方

事業を因数分解してから、UIに翻訳する

アームは、画面のスケッチから始めません。解約率、オンボーディング完了率、サポート工数といった事業の数字をまず因数分解し、どの数字のどの要因がUIに起因しているのかを特定してから、画面の設計に翻訳します。得意なのは装飾ではなく、事業の数字をUIに翻訳するこの部分です。

使われて、数字が動くまでを設計と呼ぶ

納品した画面がどれだけ整っていても、現場で使われず、数字が動かなければ設計とは呼べないと考えています。だからリリース後の利用状況まで見て直します。ディレクターを挟まない一気通貫の体制で、課題を聞いた本人が設計まで担当します。サービスの詳細はSaaS・プロダクトデザインのサービス紹介にまとめています。

よくある質問

SaaSのUIデザインの外注費用の目安は?

費用は作業量ではなく、課題の難しさと競合の強さで決まるため、一律の相場は示せません。目安が必要な段階なら、まず小さなUI診断で見積もりを取り、課題の全体像と優先順位を掴むのが確実です。

どこまで自社でやり、どこから外注すべきですか?

日々の画面追加や文言調整は自社で、画面をまたぐ基準づくり(デザインシステムや情報設計の型)は外注で、という分担が機能しやすい形です。基準さえ整えば、社内だけで回せる範囲は大きく広がります。

デザイナー個人と会社、どちらに依頼すべきですか?

規模で選ぶ必要はありません。見るべきは、管理画面・業務システムの改善実績と、課題を聞いた人が設計まで担う体制かどうかです。この2つを満たしていれば、個人でも会社でも成果は出ます。

UI改善の効果は保証してもらえますか?

解約率などの数字にはUI以外の要因も絡むため、誠実な依頼先ほど効果の保証はしません。代わりに、どの数字を動かしにいくかを着手前に合意できる相手かを確認してください。

開発中のプロダクトでも依頼できますか?

できます。むしろ画面が増えきる前に基準を整えるほうが、直す量が少なくて済みます。リリース後に全面改修するより、開発中に型を入れるほうが投資としては軽くなります。

アーム代表 伊藤 悠希

アームは、伝言ゲームなしで課題の整理からデザイン、実装までを一人が担う戦略デザインスタジオです。

  • サイトはあるのに、売上につながっていない
  • 問い合わせは来るが、質が合わず商談にならない
  • 何に投資すれば伸びるのか、判断がつかない

動くものなら数日で作れる時代です。問われるのは、何を作るかより、なぜ作るか。事業の分解から画面と実装まで同じ人間が担当するので、決めた方針が形になるまで薄まりません。ぜひアームに一度ご相談ください。

まとめ:SaaSのUIデザイン外注は「回収の設計」から

SaaSのUIデザインの外注は、社内に言語化の型がなく、画面をまたぐ基準が必要になったときが頼みどきです。スコープは診断・個別画面の改善・デザインシステム・継続改善の4段階で考え、全面リニューアルを前提にせず、小さく始めて広げてください。外注先は、管理画面の改善実績、データを見る姿勢、伝言ゲームのない体制の3点で見極められます。

どこから直すかの具体的なイメージが欲しい方は、実例をまとめた管理画面のUI改善の記事もあわせて読んでみてください。そして見積もりを取るときの問いは、「いくらで作るか」ではありません。いくらを回収する設計か。SaaSのUIデザインの外注は、この問いから始めると失敗しにくくなります。

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アーム代表 伊藤 悠希

アームは、伝言ゲームなしで課題の整理からデザイン、実装までを一人が担う戦略デザインスタジオです。

  • オンボーディングの離脱が止まらず、解約が減らない
  • 現場から使いにくいと言われるが、どこから直すか決められない
  • 機能を足しても、継続率が変わらない

動くものなら数日で作れる時代です。問われるのは、何を作るかより、なぜ作るか。事業の分解から画面と実装まで同じ人間が担当するので、決めた方針が形になるまで薄まりません。ぜひアームに一度ご相談ください。

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