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UI/UXデザイン

UI/UXデザインの費用相場|同じ画面数でも、実装後に崩れる見積もりがある

UI/UXデザインの費用相場|同じ画面数でも、実装後に崩れる見積もりがある

アーム代表の伊藤です。
UI/UXデザインの費用は、アプリ・SaaS・業務システムなら10画面前後で90万円〜、20画面以上で250万円〜、部分改善は50万円〜が目安です(アームの公式料金、2026年9月時点・税別)。

同じ画面数でも、見積もりの額は会社によって数倍違います。差が出るのは腕ではなく、実装後に崩れないところまで見ているかどうかです。安い見積もりほど、画面を形にする工程だけに絞られていることがあります。

この記事では、費用相場の表のあとに、見積もりが安く見える理由と、その見積もりを社内でどう説明すればいいかまで整理します。

見積もりが安いのは、実装への申し送りを削っているからかもしれない

  • デザイン担当の有無を人単位で契約前に確認
  • 安い見積もりは形にする工程だけのことがある
  • 差額は消えた工程ではなく残った工程

UI/UXデザインの見積もりを金額だけで比べると、見えなくなるものがあります。安い見積もりほど、画面を形にする工程だけに絞られていることがあるという事実です。プランニングと検証を含む見積もりと、画面のビジュアルだけの見積もりが、同じ「UIデザイン一式」という項目名で並んでいることは珍しくありません。

見積もりの前に、デザイン担当が付くかを人単位で確認する

比較の前に、もう一つ確認しておきたいことがあります。提案書に「デザインも対応します」と書かれていても、実際にプロジェクトへ専任のデザイナーがアサインされるとは限りません。着手から1ヶ月以上たってから担当デザイナーが付かないと分かり、上がってきた画面がいかにもエンジニアが作ったような見た目だったという相談は珍しくありません。契約前に、デザインを担当するのが専任のデザイナーなのか、エンジニアの兼任なのかを、会社名や役職ではなく人単位で確認してください。

見積もりを自分で組み立てるときも、同じ注意が要ります。開発費だけを先に確保し、デザイン費を「あとで考える」項目として除外していないか。最初の概算にデザインの行を立てていない見積もりは、実装が進んでから追加請求されるか、デザインが後回しのまま公開されるかのどちらかになりがちです。

安い見積もりが削っているのは、金額ではなく工程

アームが相見積もりの場で見てきた範囲では、開発会社の一括見積もりに含まれる「デザイン費」は、画面を形にする工程だけを指していることが少なくありません。状態設計(正常時・データが空のとき・エラー時・読み込み中・権限がないとき)や、実装側への申し送りが、見積もりの項目そのものに存在しないケースです。

この場合、差額として消えているのは工程ではなく、あとから発生する手戻りです。デザインが画面のビジュアルとして納品されても、状態ごとのふるまいが言葉になっていなければ、実装するエンジニアは自分の判断で埋めるしかありません。埋め方が画面ごとに違えば、それが実装後の崩れとして現れます。

申し送りの有無は、見積書の「納品物」の行で分かる

申し送りが含まれているかどうかは、見積書の納品物の行で見分けられます。Figmaのデザインデータだけが並んでいるか、状態ごとの仕様や実装ガイドラインが項目として立っているか。この1行があるかどうかで、公開後に画面が崩れる確率は大きく変わります

アームの見積もりでは、この申し送りの工程を検証・調整の内訳に含めています。デザインを渡して終わりにせず、実装したエンジニアと状態や余白のルールをすり合わせるところまでを、費用の内訳として説明しています。

画面数の見積もりは、社内で説明するときに弱い

  • 「画面数×単価です」は次の質問に詰まる
  • 説明に使えるのは課題の分解の言葉
  • 稟議には難易度の根拠を添える

見積もりの金額を社内で説明するとき、根拠が「画面数×単価です」で止まっていると、次の質問に詰まります。「なぜこの画面はこんなに高いのか」「なぜ同じ画面数なのに前回のプロジェクトより高いのか」。画面数は、説明の材料としては弱い数字です

費用を決めているのは画面数ではなく、課題の難しさ

UI/UXデザインの費用を最終的に決めているのは、作業量ではなく解決したい課題の難しさと競合の強さです。画面数は、その難しさが表に出た代理指標にすぎません。だから社内への説明も、画面数ではなく課題の分解で組み立てるほうが通りやすくなります。

たとえば「20画面で250万円」ではなく、「状態を含めると実質60パターンの画面があり、そのうち業務ルールに由来する例外処理が最も設計の手間を占める」という言い方なら、金額の理由が伝わります。決裁者が知りたいのは画面の枚数ではなく、その金額が何を解いているかです

稟議の材料は、見積書の内訳からそのまま作れる

次の章で見積書の内訳の読み方を扱いますが、内訳が「プランニング・デザイン・検証」の3つに分解されていれば、稟議の説明もその3つに沿って書けます。内訳を説明できない見積もりは、社内でも説明できません。依頼先を選ぶ基準は、価格の安さだけでなく、自分が上司に説明できる見積もりを出してくれるかどうかでもあります。

差し戻されると、次の予算期まで動けなくなることがある

稟議が差し戻されると、単に時間が延びるだけでは済みません。半期ごとに予算を組む会社では、差し戻しは次の予算期まで着手そのものが止まることを意味します(予算編成を半期サイクルと仮定した場合、最大で半年の停止)。企画を通した本人にとっても、差し戻しは次の提案のしやすさに響きます。

見積もりの内訳と、社内説明の組み立て方について相談する

UI/UXデザインの費用相場|案件タイプ別の早見表

  • 画面数2倍で費用は約2.8倍に増える
  • 業務システムは同じ費用帯でも上振れしやすい
  • 月額伴走は週1日12万円〜から

ここまでの内容を踏まえたうえで、金額の目安を確認してください。数字は、デザイン担当の有無と申し送りの有無を確認したあとに使う判断材料です。UI/UXデザインの費用相場は、案件のタイプと依頼範囲でほぼ決まります。アプリ・SaaS・業務システムのUIデザインなら10画面前後で90万円〜、20画面以上で250万円〜が目安です(アームの公式料金、2026年9月時点・税別)。

案件タイプ

費用目安(税別)

前提

ホームページ・LP(設計〜実装まで一式)

40万円〜(規模で変動)

戦略設計・情報設計から公開まで含む

アプリ・SaaSのUIデザイン

10画面前後 90万円〜 / 20画面以上 250万円〜

実装は開発側で対応する前提

業務システム・管理画面のUIデザイン

10画面前後 90万円〜 / 20画面以上 250万円〜

同上/複雑さで上振れ

部分改善(特定フロー・画面群の改修)

50万円〜

対象範囲を限定

UI診断・改善提案

無料

単発/課題を切り分け

継続改善(月額伴走)

週1日 12万円〜/月

稼働日数で変動

根拠は相場ではなく、公開された実料金

この記事の料金表記について

先にお断りしておくと、この金額は市場調査による「平均値」ではありません。UI/UXデザインの相場と呼べる固定値は業界に存在せず、公的な統計もないためです。

上の表は、アームが「費用と相場の考え方」(公式料金ガイド、2026年9月時点・税別・下限表記)で公開している実料金を基準にしています。

出典のない相場レンジを写すより、根拠を公開している実際の料金を物差しにするほうが、発注の判断には役立つと考えているからです。

案件タイプごとの前提は、次の4枚で補足します。自分に関係ないタイプは飛ばして構いません(根拠はいずれも上の注記のとおり、アーム公式料金ガイド・2026年9月時点)。

Web

ホームページ・LPのデザイン費用

ホームページの場合、UIデザイン単体ではなく、戦略設計から実装・公開までを一式で見積もる形が一般的です。

アームの料金では、LP制作が1ページ40万円〜、サービスサイト制作が5〜10ページで80万円〜、コーポレートサイト制作が10〜15ページで90万円〜です。

ノーコードなら、もう一段下がる

StudioやFramerといったノーコードツールで作る場合は、5ページ前後の小規模で50万円〜、10〜15ページの中規模で70万円〜と一段下がります。

サイト制作で「デザインだけ」を切り出す依頼が少ないのは、ホームページでは設計と実装の距離が近く、分けるとかえって調整の手間が増えるからです。この記事では以降、アプリ・SaaS・業務システムのように、実装チームが別にいる前提のUI/UXデザイン費用を中心に扱います。

アプリ

アプリ・SaaSのデザイン料金

アプリやSaaSのUIデザインは、画面規模で費用帯が変わります。アームの料金では、10画面前後で90万円〜、20画面以上で250万円〜です。iOS/Androidアプリも同様に10画面前後で90万円〜が起点になります。

ここで注目してほしいのは、画面数が2倍になると下限が90万円から250万円へ、単純計算で約2.8倍になっている点です。単価×画面数の掛け算なら2倍で済むはずです。

非線形に増えるのは、整合性と例外処理の設計量

そうならないのは、画面が増えるほど「画面同士の整合性」と「例外時のふるまい」の設計量が、画面数以上のペースで膨らむからです。アプリのデザイン料金を比較するときは、この非線形を織り込んでいない安い見積もりに注意してください。

後半の画面で設計が破綻するか、追加請求で帳尻を合わせることになります。

業務システム

見積もりの相場情報が出回らない理由

業務システムや管理画面のUIデザイン費用は、検索してもほとんど情報が出てきません。BtoCアプリに比べて事例が守秘義務で表に出にくい領域のためと見ています。

アームは業務システムUI/UXデザインを主力領域にしており、料金は10画面前後で90万円〜、20画面以上で250万円〜と、SaaSと同じ費用帯を公開しています。

ただし同じ画面数でも、業務システムは上振れしやすい領域です。1画面に載る情報の密度が高く、権限による表示の出し分けや、業務ルール由来の例外処理が多いからです。

概算は、業務フローのヒアリング後に動く

画面数だけを伝えて取った概算は、業務フローのヒアリング後に上がると考えておくほうが安全です。発注の進め方や依頼先の選び方は、同時公開のコラム業務システムUIデザインの外注先の選び方で詳しく扱っています。

その画面を、いちばん長く使うのは発注した本人かもしれない

業務システムのUI/UXデザインを検討している方の多くは、発注担当であると同時に、公開後にその画面を毎日使う立場でもあります。使いにくい画面は、あとから一番あなた自身の時間を削ります。1操作あたりわずか3秒の差でも、1日200件処理すれば10分、20営業日で約3時間20分になります(1日の処理件数を200件と仮定した試算)。費用を抑えて画面を粗く仕上げると、その代償を最初に払うのは発注した本人です。

部分改善

部分改善・スポット依頼の費用

全面刷新でなければ、費用はぐっと小さくなります。アームの料金では、特定のフローや画面群に絞った部分改修が50万円〜、現状のUIの課題を切り分けるUIクイック診断・改善提案は無料です。継続的に改善を回す月額伴走は、週1日相当で月12万円〜、週2〜3日で月30万円〜です。

「どこが悪いのか自分たちでも特定できていない」段階なら、いきなり全面刷新を見積もるより、診断から入るほうが総額は小さくなります。悪い箇所が特定できれば、直す範囲も最小で済むからです。

費用は「安く済む範囲」ではなく「回収が計算できる範囲」で切る

  • 抑える方法より先に回収の式
  • 時間短縮×件数×人数で計算
  • 式が立たない範囲は頼まない

抑える方法は4つありますが、それより先に回収の式を立ててください。

だからこそ、発注範囲は「安く済む範囲」ではなく「回収が計算できる範囲」で切るのが合理的です。業務システムなら、1操作あたりの時間短縮×処理件数×人数で削減額を置けます。

SaaSなら、オンボーディング完了率や解約率のどの数字を動かしたいかを先に決めます。回収の式が立つ範囲に費用を集中させれば、同じ予算でも投資として成立します。式が立たない範囲は、今回は頼まないという判断も含めて設計です。

予算が合わないときは、値引きではなくスコープで調整する

  • 値引きは品質を黙って削る
  • 内訳を説明できない費用なし
  • 見積もり前にどこまで頼むか整理

予算が合わないときに削るべきは金額ではなく、解く課題の範囲です。値引きは品質のどこかを黙って削ることと同義になりやすいからです。アームが「内訳を説明できない費用は請求しない」を掲げているのも同じ理由です。

見積もりを取る前に、どこまで頼むべきかを整理する段階からで構いません。料金の全体像は費用と相場の考え方、提供内容の詳細は業務システムUI/UXデザインにまとめています。

ここからは、その金額がどう積み上がっているかの読み方です。

UI/UXデザインの見積書の内訳と相見積もりの読み方

  • 内訳はプランニング70%・デザイン25%・検証5%
  • 前提を揃える確認項目は6つ
  • 延べ床面積を決めず建築費を聞くのと同じ

UI/UXデザインの見積書は、金額の大小より先に「内訳が説明できるか」を見ます。アームも「内訳を説明できない費用は請求しない」を公式の方針にしています。内訳は会社ごとに書式が違いますが、おおむね次の3つに分解できます。

費目

中身

アームの費用の内訳の目安

プランニング

課題整理・ユーザー理解・情報設計・ワイヤーフレーム

約70%(考える)

デザイン

UI設計・ビジュアル・プロトタイプ

約25%(形にする)

検証・調整

テスト・実装との連携・修正対応

約5%(検証)

前提を揃えてから、相見積もりを取る

相見積もりを取るなら、次の前提を1枚にまとめて、各社に同じ条件で渡してください。

確認項目

見るポイント

画面数の定義

状態違い(エラー・空・権限)を1画面と数えるか

依頼範囲

リサーチ・検証を含むか、UI設計のみか

修正の条件

何回まで含むか、どの工程までの巻き戻しに対応するか

納品物

デザインデータ、実装への申し送り

データの権利

納品データを自社で編集・流用できるか

前提条件

素材・原稿の支給範囲、意思決定者の参加

  • 納品物の内訳:Figmaなどのデザインデータ、デザインシステム、実装への申し送り

この6項目が明記されていない見積もりは、金額がいくらであっても比較のしようがありません。逆に、こちらから前提を示したときに「この前提ならここが変わります」と返してくる会社は、課題を見積もる力があると判断できます。

よくある誤解。「一番安い見積もりを選べば得」

相見積もりの金額差は、ほとんどの場合、腕の差ではなく範囲の差です。プランニングを含まない見積もりと、リサーチ込みの見積もりが同じ土俵に並んでいるだけで、比べるべきものが揃っていません。

前提を揃えずに金額だけ比べるのは、延べ床面積を決めずに複数の工務店へ建築費を聞くようなものです。金額を比べる前に、上の6項目で前提を揃えてください。

UI/UXデザインの費用が決まる4つの要因

  • 状態まで数えると設計対象は数倍になる
  • 決裁者が最後だと手戻りは工程の頭まで
  • 誰も言語化できないままの削減が最も危険

UI/UXデザインの費用を最終的に決めているのは、作業量ではなく「解決したい課題の難しさ」と「競合の強さ」です。ただし、その難しさは見積書の上では次の4つの形で現れます。手元の見積もりを読むときの分解軸にしてください。

要因1

画面数と状態数

画面数は、課題の大きさが表に出た代理指標です。注意したいのは、1画面には見た目以上の設計が潜んでいることです。1枚の画面に、次の状態が並びます。

  • 正常時
  • データが空のとき
  • エラー時
  • 読み込み中
  • 権限がないとき

「一覧画面1枚」に見えても、状態まで数えると設計対象は数倍になります。見積もりの画面数の定義が「状態を含むか」で、同じ20画面でも中身はまるで別物です。

要因2

業務・ドメインの複雑さ

同じ10画面でも、シンプルな予約アプリと、在庫・会計・権限が絡む業務システムでは、設計の手前で理解すべきことの量が違います。さらに、競合の強さも費用を押し上げます。

競合がひしめく市場では「使える」水準では選ばれず、体験の磨き込みに求められる水準そのものが上がるからです。費用を「難しさの値段」として見ると、安い見積もりは「難しさをまだ見積もれていない」だけの場合があります。

要因3

リサーチと検証の深さ

前の章で見たとおり、ユーザー理解と検証をどこまで含むかは費用の大きな変数です。既にユーザーの声が社内に蓄積されているなら、リサーチを軽くして費用を下げる判断は合理的です。逆に、誰のどんな不満を解くのかを誰も言語化できていないなら、ここを削るのは一番危険な節約です

要因4

決裁者が最後に出てくると、見積もりが跳ね上がる

見落とされがちですが、発注側の体制も費用を動かします。修正が膨らむ案件には共通のパターンがあり、その典型が「決裁者が最後に登場する」進め方です。現場と詰めた設計が最終確認でひっくり返ると、手戻りは工程の頭まで巻き戻ります。

意思決定者が最初から打ち合わせに入る体制を組めるなら、それだけで見積もりの前提リスクは下がります。これは発注側が自力で下げられる、数少ない費用要因です。

見積もりを取る側が用意すると、概算の精度が上がるもの

アームは画面数×単価の掛け算で見積もりを作りません。同じ20画面でも、一覧と詳細の繰り返しで構成された20画面と、種類の違うフォームと例外処理が並ぶ20画面では、設計の難しさがまったく違うからです。

見積もりの際は、画面リストを状態まで分解したうえで、「新しく設計する部品(コンポーネント)がいくつあるか」で規模を測ります。だからお客様には、画面数だけでなく、できれば現行画面や業務フローを見せていただくようお願いしています。概算の精度が大きく変わります。

UIデザインの外注先の選び方(会社・フリーランス・開発会社込み)

  • 開発会社のデザイン費は形にする工程のみ
  • フリーランスは稼働の上限が人に依存
  • 判断基準は課題の言語化から始まるか

UIデザインの外注先は、大きく3つに分かれます。それぞれ費用の構造が違うので、金額の絶対値ではなく構造で比べてください。

依頼先

特徴

注意点

デザイン会社・スタジオ

設計〜検証まで体制対応/実績豊富

体制費用が見積もりに乗る

フリーランス

直接やり取りでき、小回りが利く

稼働・得意領域は人に依存

開発会社にデザイン込み

契約が1本で済み、実装との距離が近い

デザインが実装都合に引っ張られ、検証工程が薄くなりがち

  • デザイン会社・スタジオは、担当者が誰かで結果が変わる
  • フリーランスは、継続性の担保が契約次第になる
プランニングと検証を含まない金額を、そのまま並べない

前の章で見た「デザイン費は形にする工程だけ」という差は、外注先の3類型でも同じように起きます。開発会社にデザイン込みで依頼する場合、契約が1本で済む代わりに、検証工程が薄くなりがちです

プランニングと検証が入っていない金額を、デザイン会社のUX込みの金額とそのまま並べて「開発会社のほうが安い」と判断してしまうのが、比較の典型的な事故です。

選ぶ基準は、見た目の美しさではない

選ぶ基準はテイストの好みではなく、提案が課題の言語化から始まっているかどうかに置いてください。ポートフォリオの美しさは、あなたの課題を解く力の証明にはなりません。

最初の打ち合わせで、成果物の話より先に業務や数字の質問が多い相手は、課題を解く前提で見積もりを組んでいます。画面をまたぐ判断基準がないまま外注先だけ変えても、デザインシステムが壊れる原因と同じ崩れ方をすることがあります。

迷ったら、次の2本で範囲を決める

SaaSを運営していて、どの工程から外注するか迷っている方は、こちらのコラムもあわせてお読みください。費用の妥当性とあわせて確認したい選び方の基準も、こちらにまとめています。

UIデザインとUXデザインで費用は何が違うのか

  • UIは画面設計、UXはその検証に払う費用
  • 時間配分は考える3割・作業7割で費用と逆
  • ニールセン調査は5人で85%発見と示す

UIの費用は「画面を設計する」ことに、UXの費用は「その画面でよいと確かめる」ことに払うお金です。見積もりの金額差は、ほとんどの場合手前の課題定義・リサーチと、後ろの検証をどこまで含むかの差です。

依頼範囲と含まれる工程

UIは画面のレイアウト・情報の優先順位・ビジュアルの設計を指し、UXはその手前の課題定義・ユーザー理解と、その後ろの検証までを含みます。

依頼範囲

含まれる工程

費用の考え方

UIデザインのみ

画面設計・ビジュアル・プロトタイプ

最小構成。要件と課題が明確な場合に成立

UI+検証

上記+ユーザーテスト・改善の反映

テストの回数と反映の分だけ上乗せ

UX全体

課題定義・リサーチ・要件整理・UI・検証

「考える」工程が費用の柱になる

費用の内訳は「考える約70%・形にする約25%・検証約5%」

アームの見積もりでは、費用の内訳の目安を「考える約70%・形にする約25%・検証約5%」と公開しています。なお時間の配分は逆で、目安は考える3・手を動かす7です。つまりUX側の工程を全部外すと、理屈の上では費用の7割が消えます。

それでも安易にお勧めしないのは、要件が曖昧なままUIだけ作るのは、診察を受けずに薬だけもらうようなものだからです。画面はきれいに仕上がっても、そもそも解くべき課題を外していたら、その費用はまるごと空振りになります。

リサーチは「ゼロか、フル装備か」の二択ではない

一方で、リサーチは「ゼロか、フル装備か」の二択ではありません。

ユーザビリティ研究のNielsen Norman Groupは、記事「Why You Only Need to Test with 5 Users」(Jakob Nielsen、2000年)で、最初の5人のテストでユーザビリティ問題の約85%を発見できると述べています(ユーザー層が大きく異なる複数グループに分かれる場合は、グループごとのテストが必要という留保付き)。

発行年が古くても、使える理由

発行は2000年と古いものの、リサーチが「やるか、やらないか」の二択ではないことを示す古典的な根拠です。数名の軽いテストを挟むだけでも、「作ってから根本の問題に気づく」最悪の手戻りはかなり防げます。

費用を抑える方法と、2件目以降を軽くする投資

  • 抑え方の1位は主要フローへの範囲の絞り込み
  • 生成AI利用経験者は1年で26.7%→58.8%に
  • デザインシステム一式構築は150万円〜

抑え方には順番があります。そして累計で見ると、先に払って後で回収する形が合う場面があります。

費用を抑える4つの方法(効果の大きい順)

  1. 範囲を主要フローに絞る。全画面を一度に刷新せず、解約やつまずきに直結するフローから直す
  2. 診断から始める。課題の特定を先に済ませると、直す範囲が最小になり総額が下がる
  3. デザインシステムを整える。部品を最初に整備すると、2画面目以降の設計・改修が速く安くなる
  4. 素材と意思決定を発注側で整える。原稿・データの支給と決裁者の同席で、手戻り分の費用が消える

作る作業が安くなるほど、外注に払うのは「判断」の部分になる

いま、画面を形にする作業そのものは急速に安くなっています。

総務省の「令和8年版情報通信白書」(2026年)によると、生成AIサービスを使った経験のある個人は、2024年度調査の26.7%から2025年度調査では58.8%に達しました(2025年度調査は15〜19歳を新たに対象に加えた数値で、20歳以上に限ると52.2%)。

AIとノーコードで「それらしい画面」は誰でも作れるようになり、この流れは戻りません。作る作業が安くなるほど、UI/UXデザインの費用の中で残る価値は「どの課題を、どの水準まで解くかの判断」に寄っていきます。

デザインシステムの有無で、2件目以降の費用が変わる

デザインシステム(色・文字・部品の共通ルール一式)を最初に整備するかどうかは、単発の費用ではなく累計の費用を左右します。アームの料金では部分整備が50万円〜、一式構築が150万円〜です。

初期費用は上がりますが、部品が揃ったあとの画面追加や改修は、新規設計する部品が減るぶん確実に軽くなります。画面を継続的に増やしていくSaaSや業務システムほど、先に払って後で回収する構造が生きます

よくある質問

UIデザインは1画面いくらで依頼できますか?

1画面あたりの固定単価は、実務ではあまり意味を持ちません。同じ1画面でも、状態数と部品の新規性で設計量が数倍変わるからです。

目安が必要なら、アームの料金では10画面前後で90万円〜なので、状態込みの1画面あたりに単純換算すると9万円前後からになります。まとまった規模ほど部品を使い回せるため、換算単価は下がります。

アプリのデザイン料金だけを外注し、開発は自社でやれますか?

できます。アームもUI/UXデザインは、実装をお客様側のエンジニアが担う前提で請けています。その場合、デザインデータだけ渡して終わりにせず、状態や余白のルールを実装者に申し送る工程まで含まれているかを見積もりで確認してください。ここが抜けると、実装段階でデザインが崩れます。

UXリサーチを削れば、UIデザインの費用は安くなりますか?

安くはなりますが、条件付きです。ユーザーの不満や要望が社内に既に蓄積されているなら、削る判断は合理的です。何を解くべきか誰も言語化できていない状態で削ると、きれいな画面で間違った課題を解くことになります。

5人程度の小さなテストでも主要な問題の多くは見つかるので、全部削るのではなく軽くする選択肢を検討してください。

見積もりが会社によって数倍違うのはなぜですか?

範囲と前提が違うからです。プランニングと検証を含むか、画面数に状態を含めるか、修正を何回見込むかで、同じ「UIデザイン一式」でも中身は別物になります。金額の前に、この記事の6つの確認項目で前提を揃えて比べてください。

修正は何回まで対応してもらえますか?

会社によって「2回まで無償」のような回数制もあれば、範囲で区切る方式もあります。重要なのは回数そのものより、どの工程までの巻き戻しに対応するかです。ビジュアルの微調整と、情報設計からのやり直しでは費用がまったく違います。

アームは意思決定者に最初から入っていただく進め方で、大きな巻き戻し自体を起こさない設計にしています。

納品されたデザインデータは自社のものになりますか?

契約次第です。データの編集・流用を制限する契約もあるため、発注前に必ず確認してください。アームは納品データをお客様の所有とし、保守契約も任意です。特定の会社に依存しない状態を保てるかは、長期の総額に響いてきます。

見積もりを社内で説明するには、何を聞けばいいですか?

金額の総額ではなく、内訳の3区分(プランニング・デザイン・検証)と、それぞれが何を解決する工程かを聞いてください。「画面数×単価」としか答えない見積もりは、社内の説明にそのまま使えません。

安い見積もりと高い見積もりは、何が違うのですか?

多くの場合、実装への申し送りが含まれているかどうかです。状態ごとの仕様や実装ガイドラインが納品物に無い見積もりは、その分だけ安く見えますが、実装段階の手戻りという形で差額が戻ってくることがあります。

費用を調べ始めるタイミングに決まりはありますか?

予算策定期や新規事業の立ち上げ時が典型的ですが、同業のプロダクトがリニューアルされたのを見て、自分たちの画面が見劣りするように感じたことがきっかけになる方も少なくありません。きっかけが何であれ、最初に確認すべきは金額ではなく、この記事で見た見積もりの内訳です。

UI/UXデザインの費用は、画面数ではなく「実装後に崩れないか」で比べる

UI/UXデザインの費用に業界共通の定価はなく、アームの公式料金ではアプリ・SaaS・業務システムは10画面前後で90万円〜、20画面以上で250万円〜、部分改善は50万円〜が目安です(2026年9月時点・税別)。

その価格差は、何が生んでいるのか

見積もりの差は腕ではなく範囲の差です。まずデザインを専任で担当する人がいるかを人単位で確認し、そのうえで画面数の定義・依頼範囲・修正の条件・納品物・データの権利・前提条件の6項目で前提を揃え、さらに実装への申し送りが納品物に含まれているかを確かめてください。そこまで見えれば、社内への説明も「画面数×単価です」から一歩進みます。問いを「いくらで作れるか」から「いくらを回収する設計か」に置き換えたとき、見積もりは初めて投資の資料になります。

予算が決まっている段階から、切り方をご相談ください

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