aaam
UI/UXデザイン

管理画面のUIデザイン参考│真似る前に抽出したい6つの設計原則

管理画面のUIデザイン参考│真似る前に抽出したい6つの設計原則

アーム代表の伊藤です。
デザイナーではないのに管理画面のデザインを任された。管理画面のUIデザインの参考を探して見比べても、自分が決めた配置が正しいのか、誰も保証してくれない。

参考から写すのは見た目ではなく、あとで判断の理由を言える6つの設計原則です。集めるのは多くて3サイトで足ります。

この6つを守れなかった実例は、海外の有名な管理画面ガイドラインにもあります。

参考サイトを開いたら見る6つの設計原則

  • 破壊的操作は三段構えで守る
  • テーブルは列の順番が肝心
  • 毎日使う操作は浅い階層に置く

公開されている相談には「管理画面のデザインをエンジニアが行うのはおかしいか」という質問があり、「よくあることだと思う」という回答が付いています。任されたのが専任のデザイナーでないのは、珍しくありません。不安の正体は見た目の良し悪しではなく、この判断で合っているか、誰にも保証されていないことです。

だから参考サイトで観察するのは次の6点だけです。いずれも、アームが管理画面の改善案件で実際にズレを見てきた箇所です。

原則1

アイコンとラベルの意味がずれていないか

ラベルは「ブックマーク」なのにアイコンはハート。アームが実案件で最も多く見てきたズレです。ユーザーは操作の前に一瞬止まり、その一瞬が毎日積み重なります。

参考サイトでは、アイコン単体で意味が通じるか、ラベルと同じ概念を指しているかを見ます。優れた管理画面は印と言葉が一対一で対応しています。

印と言葉

現場で起きること

一対一で対応

迷わず押せる

近いが別の概念

毎回一瞬止まる

原則2

削除ボタンを押し間違える配置になっていないか

リセットボタンが、保存ボタンの隣に同じ見た目で並んでいる。アームが改善に入った画面に実際にありました。押し間違えた人ではなく、並べたほうに原因があります。

参考サイトでは、取り返しのつかない操作が距離、色、確認ステップの三段構えでどう守られているかを見ます。三つとも備えている画面は、そのチームが事故を経験して学んだ跡です。

守り

見るところ

距離

保存の隣にないか

色

同じ見た目でないか

確認ステップ

押した後に一手あるか

原則3

×とキャンセルの挙動が画面ごとに違わないか

キャンセルは入力を破棄するのか。右上の×は保存するのか、破棄するのか。画面ごとに挙動が違い、どちらを押せばよいか迷う管理画面を実際に見てきました。

参考サイトでは、閉じる操作の挙動が全画面で統一されているかを見ます。地味な観点ですが迷いの総量に直結します。

閉じる操作

確かめること

キャンセル

入力を破棄するか

右上の×

キャンセルと同じ挙動か

原則4

一覧テーブルの列は業務の判断順に並んでいるか

ユーザーが最も長く見つめ、最も多く操作するのは一覧画面です。それなのにテーブルは参考探しで軽く見られています。

列の順番には、そのサービスがユーザーの判断順序をどう理解しているかがそのまま出ます。次の4点を見るだけで設計の丁寧さは判別できます。

見る箇所

確かめること

列の順番

判断に必要な順か

1行の単位

1件の受注・1人の従業員か

絞り込みと並べ替え

実際の探し方に合うか

数字

右揃えか

原則5

画面で目立つ情報は現場が知りたい情報か

画面で最も大きく表示されているものは、ユーザーが真っ先に知りたい情報でしょうか。参考サイトで最初に目が行く場所に何が置かれているかを見て、その理由を推測します。

理由を言語化できた参考だけが、自社の設計に転用できます。

目立つ場所の理由

扱い

言葉にできる

自社に転用する

言葉にできない

その参考は捨てる

原則6

毎日使う操作が深い階層に埋もれていないか

毎日使う操作と、月に一度の設定が、同じ深さに並んでいないか。参考サイトのナビゲーションで、どの操作が一等地を占めているかを数えると、そのサービスがユーザーの業務頻度をどう理解しているかが読み取れます。

自社の頻度分布と重ねて見るのが正しい使い方です。

使う頻度

置き場所

毎日

浅い階層の一等地

月に一度

深い階層

年に数回

設定の奥

この6つを、社名を出して文章で公開している会社が3つあります。読み方はこの記事の後半で書きます。

参考サイトを開く前に踏む4つの手順

  • 頻出画面は2〜3枚に絞る
  • 近い参考は3つまでに選ぶ
  • 自社の言葉に翻訳して使う

参考は問いを立ててから探すのが正しい順序です。しかもこの仕事はたいてい本業の合間に降ってきます。全部の画面を作り込む時間はないので、見る範囲を先に絞ります。

手順

やること

1. 頻出画面を決める

最も使われる画面を2〜3枚に

2. 近い参考を選ぶ

データと業務が近い3つまで

3. 原則で分解する

配置と言葉の理由を言語化

4. 自社の言葉に翻訳する

現場の用語と頻度に置き換え

見た目の好みで選ばない。言語化できない参考は捨てる。手順2と3でこの2つを守るだけで、参考探しの失敗の大半は防げます。

よくある失敗:参考集めで迷子になる

参考集めで最も多い失敗は、量を集めすぎて判断基準を失うことです。20枚のスクリーンショットを並べるとどれも良く見えるのは、それぞれが別の設問への答案だからです。良いところだけを合成すると、ヘッダーはA社、テーブルはB社、モーダルはC社。部品は一流でも、操作の文法がバラバラな画面ができあがります。参考は多くて3サイト、観察するのは原則だけ。

参考を開く前に決める3つ

  • 書き出すのはA4用紙1枚
  • 専任か月次利用かで解が違う
  • 業務のどの瞬間に使うか見る

参考探しがうまくいかないときは、探す前の準備が抜けています。ブラウザのタブを開く前に次の3つを書き出します。A4用紙1枚で足ります。

決めること

分かれ目

誰が使うか

専任オペレーターか管理職か

どの場面で使うか

電話中か腰を据えてか

どの頻度で使うか

毎日か年に数回か

準備1│専任か月末だけか

同じ「管理画面」でも、使う人によって最適な画面はまったく違います。

使う人

要るもの

1日8時間張りつく専任

情報密度と操作速度

月末だけ開く管理職

迷わないこと。密度は邪魔

参考にしたSaaSがどちらを想定しているかを確かめないまま真似ると、想定が入れ替わったまま画面だけが移植されます。似せたのに使いにくい、の典型です。

準備2│電話中か机の前か

受注登録なのか、問い合わせ対応中の検索なのか、月次の締め作業なのか。同じ一覧画面でも、電話を受けながら急いで探すのか、腰を据えて突き合わせるのかで、置くべき情報も操作も変わります。

準備3│毎日か年数回か

頻度は導線の深さを決める物差しです。ここを決めておくと、参考サイトを見たときに「この操作を一等地に置いている。つまり毎日使われる前提だ」と読み解けます。この3つが決まると参考は「同じ設問を解いている画面」で選べるようになります。

デザインシステムを読む

  • SmartHRは言葉の基準も公開
  • デジタル庁は想定利用者を明記
  • Polarisは実装が数年で入れ替わった

画面のスクリーンショットより質が高い参考は、公開されているデザインシステムです。なぜそう決めたのかの理由が文章で残っているので、「SmartHRも同じ考え方でラベルと印を揃えている」と、自分の判断の根拠にそのまま使えます。相談できる先輩デザイナーが社内にいなくても、上司やチームへの説明はこれで成立します。

デザインシステム

読み取ること

SmartHR

言葉の基準(原則1)

デジタル庁

想定利用者の前提

Shopify Polaris

実装は入れ替わる

SmartHR│基準を公開

SmartHR, Inc.が公開しているデザインシステムです。色やコンポーネントに加えて、アクセシビリティの方針と、伝わる文章・ライティングのガイドラインまで公開されています(SmartHR Design System、2026年8月時点)。

管理画面の使いにくさは、多くの場合言葉の不統一から生まれます。言葉の基準を明文化している組織がある、という事実そのものが、参考にすべき態度です。

デジタル庁│対象者明記

デジタル庁が公開しているデザインシステムです。UIコンポーネント、ガイドライン、Figmaのデザインデータが公開されています(デジタル庁デザインシステム、β版 v2.16.0、2026年8月時点)。

行政機関や公共性の高い組織のホームページでの利用を想定している、と公式に書かれています。誰でも使えるが誰にでも最適ではない、と作った側が宣言しているということです。参考を選ぶときは、この前提が自社と重なるかを最初に確かめます。

Polaris│管理画面専用

公式に「Fundamental design guidance for creating quality admin experiences」と書かれており、管理画面のための設計ガイダンスであることが明示されています(Shopify Polaris、2026年8月時点)。同ページの上部には「(Deprecated)」と表示され、Polaris Web Componentsへの移行が案内されています。実装は数年で入れ替わりました。

真似る対象を実装に置いていた人は、ここでやり直しになります。原則に置いていた人は何も失いません。参考は古くなりますが抜き出した原則は古くなりません。デザインシステムを自社で持つとき、どこから崩れていくのかは別記事に整理しています。

よくある質問

管理画面UIの参考はどこで探せばいいですか?

まず見てほしい参考は、自社が業務で契約しているSaaSの画面です。毎日使っているぶん、なぜ使いやすいか、どこで迷うかを一次情報として観察できます。

SaaSの管理画面の参考はどう選べばいいですか?

業種の近さより、扱うデータ構造と利用頻度の近さで選びます。大量の一覧を毎日さばく業務なら、業種が違ってもテーブル操作の優れたサービスが参考になります。

参考が見つからないニッチな業務システムの場合は?

6つの設計原則は業種をまたいで通用します。近い領域の管理画面から原則だけを借り、用語と頻度を自社の業務に合わせて翻訳すれば設計できます。

デザイナーに参考を渡すときのコツはありますか?

URLだけを渡さず、その参考のどこを良いと感じたかを一言添えてください。どの原則を評価したのかが伝わると、デザイナーは構造を再現できます。

管理画面は顧客に見せないのに、そこまで作り込む意味はありますか?

顧客の目に触れない分、後回しにされやすい場所です。ただ、そこを使う社内の人にとっては、管理画面こそが唯一触れる画面です。誰も見ていない場所の設計を丁寧にできるかどうかが、そのまま仕事の質に跳ね返ります。

管理画面のUIデザイン参考は、6つの設計原則に分解してこそ自社に活きる

  • 参考は見た目でなく6つの設計原則に分解して写す
  • 開く前に使う人・場面・頻度をA4用紙1枚に書き出す
  • 参考は多くて3サイト・言葉にできない参考は捨てる

関連するコラム