
アーム代表の伊藤です。
会社概要は、この記事の記入例をそのまま埋めれば10分で形になります。注意が要るのは空欄の作り方だけです(住所や資本金を載せたくないときは、公式に認められた省略の形があります)。法人・個人事業主それぞれの記入例と、載せたくない項目の扱い方までを整理します。
こんな方におすすめのコラムです
- 「会社概要に何を書けばいいか分からない。資本金は書かないものなのだろうか」という方
- 「資本金を正直に書いたら、小さい会社だと思われて問い合わせが来なくなる気がする」という方
- 「自宅で開業しているので、住所をネットに出したくない」という方
- 「テンプレートの項目は埋めた。これで本当に信用されるのか不安」という方
会社概要とは
会社概要とは、社名・所在地・代表者名・設立年・資本金・事業内容といった、会社の基本情報を一覧で示すページ(文書)を指します。ホームページでは「企業情報」「会社情報」とも呼ばれます。取引先・求職者・購入者が「この会社は実在して、いまも動いているのか」を確かめる入口になるページです。
会社案内と会社概要の違い
会社案内と会社概要の違いは、ひとことで言えば「魅力を伝える資料」か「事実の一覧」かです。
会社概要 | 会社案内 | |
|---|---|---|
中身 | 社名・所在地・代表者などの事実 | 理念・強み・実績・写真 |
形式 | Webページ・概要書(1枚) | パンフレット・スライド |
読まれ方 | 確認される・照合される | 読んでもらう |
この記事で扱うのは前者です。魅力を語るのは、事実の欄が埋まってからで間に合います。なお、ホームページに会社概要を置くことは法律上の必須ではありません。必須でもないのに、実務では必須のように扱われている理由は、記事の後半で種明かしします。
会社概要の書き方と記入例【法人】
まず完成形からです。下の表を自社の情報に置き換えれば、法人の会社概要はそのまま成立します。右端のメモは、その項目が「誰に・何と突き合わされるか」の要点です。
項目 | 記入例 | ひとことメモ |
|---|---|---|
会社名 | 株式会社サンプル製作所 | 登記の商号どおりに。「(株)」と略さない。国税庁の法人番号公表サイトの表記と一字一致させる |
代表者 | 代表取締役 山田 花子 | 役職名+フルネーム。登記と同じ表記で |
所在地 | 〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋◯丁目◯番◯号 ◯◯ビル3階 | 建物名・階数まで。地図アプリで建物が特定できる粒度が基準 |
電話番号 | 03-1234-5678 | 確実につながる番号。問い合わせフォームだけの会社は警戒される |
設立 | 2018年4月(創業2015年6月) | 創業と法人設立が違うなら両方書く |
資本金 | 300万円 | 任意。書くなら登記どおり正直に。迷う場合は後述 |
事業内容 | ・業務用厨房機器の製造・販売 | 名詞で具体的に3〜5行。「トータルサポート」だけでは何の会社か照合できない |
従業員数 | 8名(2026年8月現在) | 任意。書くなら時点を添える |
許認可・登録 | 東京都知事許可(般-◯)第◯◯号(該当業種のみ) | 建設業・宅建業・古物商などは番号まで。番号がないと照合できない |
主要取引先・取引銀行 | 任意 | B2Bで与信を見られる商流なら効く。載せる場合は相手企業への確認を |
すべての行に共通する基準は1つだけです。読者に説明する欄ではなく、外部の事実と突き合わされる欄だと考えて書く。会社概要の正確さとは文章の丁寧さではなく、登記・地図・電話番号との一致率を指します。
事業内容の書き方と例文
つまずく人がいちばん多いのは事業内容です。例文として、アームの実際の記載を置きます。主要な売り物から順に、名詞で3〜5行が基本形です。
・コーポレートサイト、サービスサイトの企画・デザイン・実装
・SaaS、業務システムのUIデザイン
・ブランドの戦略設計とビジュアルアイデンティティ開発
「お客様の課題解決」「トータルサポート」のような抽象語だけの事業内容は、何の会社か照合できず、書いていないのと同じ扱いを受けます。逆に、実態のない事業を並べて立派に見せるのも損で、照合の場面で不一致として跳ね返ります。
会社概要の書き方と記入例【個人事業主】
個人事業主の記入例は、架空のサンプルではなくアーム自身の会社概要をそのまま使います。2026年8月時点で、アームのサイトに実際に載せている内容です。
項目 | アームの実際の記載 | なぜこう書いているか |
|---|---|---|
屋号 | アーム(英名:aaam)・2024年6月開業 | 開業届の屋号と揃えている。開業年月をここに併記して「いつからやっているか」を先に答える |
代表 | 伊藤 悠希(業界歴9年・100件以上) | 人の実在がいちばんの加点材料。名前を出せない事情がなければフルネームで |
拠点 | 東京・三軒茶屋(オンライン中心・全国対応) | 自宅兼事務所のため、番地は載せていない。アームはB2Bの受託でネット通販ではないため、住所の表示義務(特定商取引法)の対象外。その分、屋号・代表名・開業年月・実績の一貫性で照合に応えている |
体制 | 代表ひとりで一気通貫 | 「何人の会社か」は発注者が必ず気にする。small であることを隠すより、smallの利点を一行で言う |
対応領域 | 戦略・情報設計/UI・Webデザイン/実装/SEO・LLMO・グロース | 名詞で列挙。「なんでもやります」は照合不能なので書かない |
費用の目安 | 診断15万円〜・サイト制作40万円〜・月額伴走12万円〜 | 照合されるのは実在だけではなく「価格帯が合うか」も。ここで答えると、合わない相談が減り、合う相談が濃くなる |
気づいた方もいると思いますが、この表に資本金の欄はありません。個人事業に資本金は存在しないので、欄を作って空欄にするより、最初から欄を置かないほうが自然です。ページ名も「会社概要」にこだわる必要はなく、「事業者概要」「運営者情報」で問題ありません。照合されるのは名前ではなく中身です。
住所・資本金を「載せたくない」ときの会社概要の書き方
記入例を見て、「書けと言われても、載せたくないものがある」と感じた方へ。この不安は正当です。自宅で開業していて住所を公開したくない方、珍しい姓で過去に嫌がらせを受け、名前の公開に恐怖がある方。載せない動機のほとんどは、やましさではなく防御です。
一方で、見る側はその事情を知りません。空欄は「偽装ではないか」と、実際より悪いほうに解釈されます。だから答えは、黙って空欄にすることでも、諦めて全部公開することでもなく、公式に用意された「正しい省略の形」を使うことです。
載せたくないもの | 取れる形 | 条件・根拠 |
|---|---|---|
自宅住所・電話番号(ネット通販をしている場合) | 表示を省略できる | 「請求があれば遅滞なく開示する」旨をサイトに表示し、実際に開示できる措置を取る(消費者庁「通信販売広告Q&A」) |
同上 | バーチャルオフィスの住所・電話番号で代替できる | 取引がそのプラットフォーム上で行われている・連絡先として機能する合意がある・運営会社が本人の現住所と本人名義の電話番号を把握している、の3条件(同Q&A) |
住所(通販をしていない場合) | そもそも法的義務なし。粒度を落とす | アームのように「東京・三軒茶屋」と町名までにして、他の項目の一致で照合に応える |
資本金 | 欄ごと置かない | 掲載義務はない。中途半端に欄を残して空欄にするのがいちばん損 |
なお、通販事業者の氏名・住所・電話番号の表示義務の根拠は、特定商取引法第11条第6号と施行規則第23条第1号です。ネット上には「11条5号」とする解説が多く出回っていますが、条文を引くと誤りです。あわせて、法人がネットで通販の広告をする場合は、代表者(または通販業務の責任者)の氏名も表示事項に含まれます(同規則第23条第2号)。代表者名を伏せたい法人は、通販ではこの点も踏まえて判断してください。
バーチャルオフィスには、一点だけ知っておくべきことがあります。悪質業者の見分け方を紹介する記事の多くが、「住所がバーチャルオフィス」をチェック項目に入れているという現実です。隠すための対策が、新しい疑いの入口になる構造がここにあります。とはいえ、スタートアップや個人事業の利用は普通の選択肢になりつつあります。B2Bで高額の取引を狙うのでなければ、条件を満たしたバーチャルオフィスと、他の項目の一致で信用は十分に組めます。
資本金だけ補足します。判断基準は、金額の小ささより「なぜ書いていないのか」が透けて見える状態を避けることです。資本金100万円と書いてある会社と、欄だけ残して空けてある会社なら、見る側は前者を信用します。書くなら正直に書く。書かないなら欄を置かず、開業年・許認可・実績など別の照合できる事実で組み立てる。実際、知恵袋には「資本金も社長の名前も載っていない会社は怪しいと考えたほうがいいか」という質問が並んでいて、空欄は沈黙ではなく、見る側にとっては1つの発言として読まれています。
会社概要を含むサイトの情報設計について相談する(自社の場合はどこまで開示すべきか、という個別の判断からで構いません)
なぜこの書き方なのか。会社概要は「疑われた瞬間」に開かれている
ここまでの記入例が「一致」ばかり気にする理由を、少しだけ話させてください。
昨年、ある文具の偽通販サイトが話題になったとき、見破った人はこう書いていました。会社概要を見たら、会社は実在しているのに、住所が交番で、電話番号も一致しなかった。別の人は、求人に応募したあとで違和感を覚えて調べ、同じ社名で住所違いの本物の会社を見つけて問い合わせ、「求人は出していません」の返事で詐欺を確定させています。
行動の順序に注目してください。全員、先には見ていません。詐欺被害の告白スレッドを読むと、被害者は口を揃えて「安かったから」「セール中だと思って」そのまま買っています。会社概要が開かれるのは、いつも違和感のあと。つまりこのページは、初対面の挨拶ではなく、疑いが生まれた瞬間の身元照会として機能しています。
データもそれを裏づけます。アームのサイトで会社概要にあたるページが見られたのは、直近90日でわずか30回。アクセス全体の1〜2%です。ふだんは誰も読んでいません。それでも、開かれるときには取引・応募・購入が天秤に乗っています。そして照合の受け皿である国税庁の法人番号公表サイトでは、年間2億2,026万件の検索が行われています(国税庁「法人番号公表サイトの利用状況」・令和7年分)。日本の法人は約570万社なので、単純計算で1社あたり年38回、誰かに照合されている規模です。警察庁も偽サイト対策として、購入前に「会社概要の内容についてインターネットで検索等を行い、企業名の盗用や虚偽の内容等が記載されていないか」を確認するよう公式に呼びかけています(警察庁「偽ショッピングサイト・詐欺サイト対策」)。
読み物としては読まれず、疑われた瞬間に数秒で照合される。だから会社概要は、上手な文章より「一致する事実」で書く。記入例のメモ欄がすべて照合の話だったのは、このためです。
会社概要と法人番号のよくある誤解
「うちは法人番号もあるし登記もしているのだから、怪しまれる筋合いはない」は誤解です。法人番号は、登記されたすべての法人に自動的に割り当てられる番号で、審査を通った証明ではありません。知恵袋でも「法人番号を調べれば安心か」という質問に「登記があるかどうかの確認程度しか分からない」という訂正が繰り返されています。
法人番号公表サイトで確認できるのは実在まで。信用はその先、サイトの記載が外部の事実と一致していること、そして情報がいまも更新されていることの積み重ねで判定されます。実在の証明は入場券であって、得点ではありません。登記だけして会社概要を空欄にしている会社は、入場券を持ったまま会場に入っていない状態です。
会社概要のデザインは「数秒で照合が済む形」にする
デザインスタジオがこう書くのは妙かもしれませんが、会社概要で凝るべきは見た目ではありません。悪質サイトの見分け方を語る当事者の声を追うと、デザインの良し悪しは判定材料としてほとんど登場せず、効いているのは情報の一致と更新の有無です。要件は5つに絞れます。
- 表組みで縦に並べる。項目名と値が対になった表は、目視でもAIでも照合が速い
- 地図を埋め込む。住所の実在確認は照合の第一歩なので、見る側の手間を先回りして消す
- 更新日と沿革の最終行を新しく保つ。沿革が3年前で止まっているページは、事業も止まって見える
- スマホで表を崩さない。照合の多くは移動中のスマホで行われる
- 代表者の顔と名前を出せるなら出す。照合が加点に転じる唯一の項目。実在の人が運営していると分かった瞬間、評価は反転する
事例集で見つかる「おしゃれな会社概要」も、分解するとほぼこの構造でできています。参考デザインを集めるのは、この5点を満たしてからで遅くありません。
会社概要でよくある失敗
- テンプレートを埋めて終わりにする。いまは詐欺サイトですら会社概要のテンプレートを埋めてくる時代です(警察庁が手口として公表している通り、実在しない住所や盗用した社名で、です)。埋まっていること自体は信用になりません。差がつくのは一致だけです
- 移転後に登記かホームページのどちらかだけ直す。登記・ホームページ・Googleビジネスプロフィールの住所がずれると、正直な会社でも不一致として読まれます
- 連絡先がフリーメールと問い合わせフォームだけ。国民生活センターが偽サイトの特徴として挙げる形と同じに見えます(国民生活センター「その通販サイト本物ですか!?“偽サイト”に警戒を!!」2023年1月公表)
- 沿革・お知らせが止まっている。実在していても、稼働していないと判定されます
- 事実の欄を削って、想いの文章だけを載せる。理念は会社案内の仕事です。事実の裏付けのない熱量は、照合する側には不安材料にしかなりません
アームの会社概要の考え方
アームは、会社概要を「サイト全体の縮図」として扱っています。サイトの信用は、実在していること・いまも動いていること・言っていることとやっていることが一致していること、の3つで決まります。会社概要はこの3つを最小面積で証明するページで、直すのに制作費はかかりません。リニューアルの相談を受けたとき、デザインの前にまず会社概要と更新の止まったお知らせ欄を直してもらうことがあるのは、このためです。
この視点の前段は、ホームページがない会社は怪しいのかで書いた「見られているのは会社概要の5項目と最終更新日」という話にあります。あわせて、コーポレートサイトで会社の考えが伝わらないという悩みやコーポレートサイト制作の支援内容も参考にしてください。
よくある質問
ホームページに会社概要は必須ですか?
法律上の義務があるのは、ネット通販など通信販売を行う場合の特定商取引法に基づく表記です。コーポレートサイトの会社概要自体に法的義務はありません。ただし取引先・求職者・購入者は会社概要で実在を照合するので、実務上は「無いと選考から外れる」ページです。
資本金は必ず書くべきですか?
義務ではありません。書くなら登記と同じ額を正直に、書かないなら欄ごと置かないのがよい形です。欄だけ残して空欄にすると「なぜ隠すのか」という読まれ方をします。
売上高を書いていないと、業績が悪いと思われますか?
非上場の中小企業では売上高非公開が一般的で、書いていないこと自体は減点になりにくい項目です。それより、所在地・代表者名・連絡先という照合可能な基本項目が揃っているかのほうがはるかに見られています。
個人事業主でも会社概要のページは要りますか?
要ります。屋号・代表者名・拠点(または開示方針)・開業年・事業内容・連絡先を一覧にしてください。ページ名は「運営者情報」「事業者概要」でも構いません。
沿革には何を書けばいいですか?
設立・事業開始・拠点移転・主要サービスの開始など、事実の節目を年表形式で。数は少なくて構いません。大事なのは最終行が古すぎないことで、直近1〜2年に1行もない沿革は「止まっている」と読まれます。
紙の会社概要(会社案内)も必要ですか?
商談や採用で手渡す機会があるなら有効です。ただし順番はWebが先です。相手が商談の前後に照合するのはWebの会社概要で、紙は照合の受け皿になりません。
まとめ
会社概要は、記入例をそのまま埋めれば10分で形になります。基準は1つで、「立派に見えるか」ではなく「照合して一致するか」。社名・所在地・代表者名・連絡先を登記・地図・電話番号と一致させ、載せたくない項目は公式の省略の形を使い、沿革の最終行を新しく保つ。ここまでは制作費0円でできます。
まずは自社のホームページの会社概要を開き、国税庁の法人番号公表サイトと地図で照合してみてください。5分で終わります。そのうえで、会社概要を含めたサイト全体の情報設計を見直したくなったら、アームに相談してください。どこまで開示するかの判断からご一緒します。




