
アーム代表の伊藤です。
会社概要を書けと言われた。自宅開業なので住所は出したくないし、資本金も小さい。かといって空欄にすると怪しく見えそうで、手が止まる。
会社概要の書き方は、下の記入例を埋めれば10分で終わります。載せたくない項目には、公式に認められた省略の形があります。守るのは「黙って空欄にしない」だけです。住所や資本金の省略には誤った説明も多く出回っていて、根拠条文を勘違いしたまま消している人がほとんどです。
法人の会社概要は、下の表を自社の情報に置き換えるだけで完成する
- 基準は登記・地図・電話番号との一致
- 事業内容は名詞で3〜5行が基本形
- 空欄より正しい省略の形を使う
まず完成形からです。上の表が必須の6項目、下の表が任意の4項目。自社の情報に置き換えれば、そのまま成立します。
項目 | 記入例 |
|---|---|
会社名 | 株式会社サンプル製作所 |
代表者 | 代表取締役 山田 花子 |
所在地 | 世田谷区三軒茶屋◯-◯-◯ ◯◯ビル3階 |
電話番号 | 03-1234-5678 |
設立 | 2018年4月(創業2015年6月) |
項目 | 記入例 |
|---|---|
事業内容 | ・業務用厨房機器の製造・販売 |
資本金 | 300万円(任意) |
従業員数 | 8名(2026年8月現在) |
許認可・登録 | 東京都知事許可(般-◯)第◯◯号 |
主要取引先 | 任意・相手企業に確認してから |
すべての行に共通する基準は1つだけ。会社概要の正確さとは、登記・地図・電話番号との一致率です。会社名は登記の商号どおりに「(株)」と略さず、所在地は建物名・階数まで、電話番号はフォームだけにせず確実につながる番号を書きます。建設業・宅建業・古物商は許認可の番号まで必須です。
アームのサイトでも、会社概要が開かれたのは直近90日で30回、アクセスの1〜2%です。ふだんは誰も読んでいません。それでも開かれるときには、取引・応募・購入が天秤に乗っています。読まれるページではなく、疑われた瞬間に照合されるページだと考えて書いてください。
住所や資本金は、空欄より省略の形
住所や資本金を載せたくないとき
黙って空欄にするのがいちばん損です。住所・電話番号には公式に認められた省略の形があり、資本金は欄ごと置かないのが正解です。この先の「載せたくない」ときの表から形を選んでください。
最も迷う「事業内容」欄、名詞3〜5行で埋める書き方
つまずく人がいちばん多いのは事業内容です。例文として、アームの実際の記載を置きます。主要な売り物から順に、名詞で3〜5行が基本形です。
・コーポレートサイト、サービスサイトの企画・デザイン・実装
・SaaS、業務システムのUIデザイン
・ブランドの戦略設計とビジュアルアイデンティティ開発
「お客様の課題解決」「トータルサポート」のような抽象語だけの事業内容は、何の会社か照合できず、書いていないのと同じ扱いを受けます。逆に、実態のない事業を並べて立派に見せるのも損で、照合の場面で不一致として跳ね返ります。ただし、この記入例より先につまずく人が多いのは、住所と資本金の欄です。黙って空欄にするのが、実はいちばん損をする選択です。
住所や資本金を「載せたくない」ときに使える会社概要の書き方
- 空欄は偽装ではと悪いほうに解釈される
- 根拠条文は特定商取引法第11条第6号
- 資本金は書くか欄ごと置かないかの二択
記入例を見て、「書けと言われても、載せたくないものがある」と感じた方へ。この不安は正当です。自宅で開業していて住所を公開したくない方、珍しい姓で過去に嫌がらせを受け、名前の公開に恐怖がある方。載せない動機のほとんどは防御です。
一方で、見る側はその事情を知りません。空欄は「偽装ではないか」と、実際より悪いほうに解釈されます。だから答えは、黙って空欄にすることでも、諦めて全部公開することでもなく、公式に用意された「正しい省略の形」を使うことです。
載せたくないもの | 取れる形 |
|---|---|
自宅住所・電話(通販あり) | 請求時に開示すると表示して省略 |
同上 | バーチャルオフィスで代替 |
住所(通販なし) | 義務なし・町名までに落とす |
資本金 | 欄ごと置かない |
通販の省略と代替の条件は消費者庁「通信販売広告Q&A」によります。「請求があれば遅滞なく開示する」旨をサイトに表示し、実際に開示できる措置を取れば省略できます。
表示義務は特定商取引法11条6号、ネットに多い「5号」は誤り
ネット上には「11条5号」とする解説が多く出回っていますが、条文を引くと誤りです。通販事業者の表示義務の根拠は次のとおりです。
表示するもの | 根拠 |
|---|---|
氏名・住所・電話番号 | 11条6号・規則23条1号 |
法人の代表者名 | 規則23条2号 |
法人がネットで通販の広告をする場合は、代表者(または通販業務の責任者)の氏名も表示事項です。代表者名を伏せたい法人は、通販ではこの点も踏まえて判断してください。
代表者名を伏せると、応募者は理由も言わずに離脱する
公開されている相談や投稿には、応募を検討していた会社の会社概要に代表者名が無かったことだけを理由に、問い合わせもせず選考を辞退したという声があります。相手は「代表者名がない理由」を尋ねてはくれません。黙って離脱するだけです。
代表者名が | 応募者の反応 |
|---|---|
求人票にもサイトにもある | 照合が一致する |
求人票にだけある | 食い違いで疑いが生まれる |
どちらにもない | 黙って離脱する |
求人票に載せた情報も、応募者は応募前にホームページで確かめに来ます。採用のために出している情報が、会社概要の抜けひとつで無効になることがあります。
バーチャルオフィスの住所は、それ自体が疑いの対象になる
悪質業者の見分け方を紹介する記事の多くが、「住所がバーチャルオフィス」をチェック項目に入れています。隠すための対策が、新しい疑いの入口になる構造がここにあります。
状況 | バーチャルの住所 |
|---|---|
個人事業・スタートアップ | 普通の選択肢 |
ネット通販 | 3条件を満たせば代替可 |
B2Bの高額取引 | 疑いの入口になる |
3条件は、取引がそのプラットフォーム上で行われる・連絡先として機能する合意がある・運営会社が本人の現住所と本人名義の電話番号を把握している、の3つです(同Q&A)。条件を満たしたバーチャルオフィスと、他の項目の一致で信用は十分に組めます。
空欄のままだと「なぜ書かないのか」を疑われる
公開されている相談や投稿には「資本金も社長の名前も載っていない会社は怪しいと考えたほうがいいか」という質問が並んでいます。空欄は沈黙ではなく、見る側にとっては1つの発言として読まれています。判断基準は金額の小ささではなく、「なぜ書いていないのか」が透けて見える状態を避けることです。
資本金の欄 | 見え方 |
|---|---|
100万円と正直に書く | 信用される |
欄ごと置かない | 別の事実で組める |
欄を残して空欄 | 隠していると読まれる |
書かないなら、開業年・許認可・実績など別の照合できる事実で組み立ててください。
会社概要の書き方と記入例【個人事業主】、そのまま使える実例
- 記入例はアーム自身の2026年8月の実データ
- 個人事業に資本金の欄は存在しない
- ページ名は「事業者概要」でも構わない
個人事業主の記入例は、アーム自身の会社概要をそのまま使います。2026年8月時点で、アームのサイトに実際に載せている内容です。
項目 | 記載例 |
|---|---|
屋号 | アーム(英名:aaam)・2024年6月開業 |
代表 | 伊藤 悠希(業界歴9年・100件以上) |
拠点 | 東京・三軒茶屋(オンライン中心) |
体制 | 代表ひとりで一気通貫 |
対応領域 | 戦略/UI・Webデザイン/実装/SEO |
番地を載せていないのは自宅兼事務所だからです。アームはB2Bの受託でネット通販ではないため、住所の表示義務(特定商取引法)の対象外です。その分、屋号・代表名・開業年月・実績の一貫性で照合に応えています。「何人の会社か」は発注者が必ず気にするので、小ささを隠すより利点を一行で言います。費用の目安(サイト制作40万円〜)まで書いておくと、合わない相談が減り、合う相談が濃くなります。
資本金欄は、最初から作らないのが自然
気づいた方もいると思いますが、この表に資本金の欄はありません。個人事業に資本金は存在しないので、欄を作って空欄にするより、最初から欄を置かないほうが自然です。ページ名も「事業者概要」「運営者情報」で問題ありません。照合されるのは名前ではなく中身です。
会社概要で凝るべきは見た目でなく、数秒で照合が済む形
- 決め手は情報の一致と更新の有無
- 要件は表組み・地図・更新日の5点
- 沿革が3年前で止まると事業停止に見える
デザインスタジオがこう書くのは妙かもしれませんが、会社概要で凝るべきは見た目ではありません。悪質サイトの見分け方を語る当事者の声を追うと、デザインの良し悪しはほとんど登場せず、決め手は情報の一致と更新の有無です。要件は5つに絞れます。
- 表組みで縦に並べる。項目名と値が対になった表は、目視でもAIでも照合が速い
- 地図を埋め込む。住所の実在確認は照合の第一歩なので、見る側の手間を先回りして消す
- 更新日と沿革の最終行を新しく保つ。沿革が3年前で止まっているページは、事業も止まって見える
- スマホで表を崩さない。照合の多くは移動中のスマホで行われる
- 代表者の顔と名前を出せるなら出す。照合が加点に転じる唯一の項目
事例集で見つかる「おしゃれな会社概要」も、分解するとほぼこの構造でできています。参考デザインを集めるのは、この5点を満たしてからで遅くありません。直すのに制作費はかかりません。
会社概要でよくある失敗
- 埋まっていること自体は信用にならない
- 住所は登記・サイト・地図で一字一致
- 止まった沿革は稼働していないと読まれる
いまは詐欺サイトですら会社概要のテンプレートを埋めてくる時代です(警察庁「偽ショッピングサイト・詐欺サイト対策」)。実在しない住所や盗用した社名で、です。埋まっていること自体は信用になりません。差がつくのは一致だけです。
失敗 | 見え方 |
|---|---|
移転後に登記かサイトの片方だけ直す | 正直な会社でも不一致 |
連絡先がフリーメールとフォームだけ | 偽サイトの特徴と同じ |
沿革・お知らせが止まっている | 稼働していない |
事実の欄を削り想いの文章だけ | 裏付けのない熱量 |
フリーメールと問い合わせフォームだけの連絡先は、国民生活センター「その通販サイト本物ですか!?“偽サイト”に警戒を!!」(2023年1月公表)が偽サイトの特徴として挙げる形と同じに見えます。理念は会社案内の仕事です。事実の欄が埋まってからで間に合います。
よくある質問
ホームページに会社概要は必須ですか?
法律上の義務があるのは、ネット通販など通信販売を行う場合の特定商取引法に基づく表記だけです。ただし取引先・求職者・購入者は会社概要で実在を照合するので、実務上は「無いと選考から外れる」ページです。
売上高を書いていないと、業績が悪いと思われますか?
非上場の中小企業では売上高非公開が一般的で、書いていないこと自体は減点になりにくい項目です。所在地・代表者名・連絡先という照合できる基本項目のほうがはるかに見られています。
沿革には何を書けばいいですか?
設立・事業開始・拠点移転・主要サービスの開始など、事実の節目を年表形式で。数は少なくて構いません。直近1〜2年に1行もない沿革は「止まっている」と読まれます。
紙の会社概要(会社案内)も必要ですか?
商談や採用で手渡す機会があるなら有効です。ただし順番はWebが先です。相手が商談の前後に照合するのはWebの会社概要で、紙は照合の受け皿になりません。
会社概要の書き方は、記入例通りに埋めれば10分で「照合が一致する」形になる
会社概要は、記入例をそのまま埋めれば10分で形になります。基準は「立派に見えるか」ではなく「照合して一致するか」。載せたくない項目は、空欄にせず公式の省略の形を使います。
番地を出さずに最初の問い合わせが来た日に
自宅の番地を載せずに公開して、それでも「会社概要を見ました」と問い合わせが来る。その日に分かります。隠したのではなく、見る側が照合できる形で省いたのだと。
守るのは「黙って空欄にしない」の1つだけです。まずは自社の会社概要を開き、国税庁の法人番号公表サイトと地図で照合してみてください。5分で終わります。どの欄を省く形にするか迷ったら、いまのページの文面を見せていただくだけでも、アームで一緒に見ます。



